Go to contents

[オピニオン]財政経済部は「文化音痴」

[オピニオン]財政経済部は「文化音痴」

Posted February. 15, 2002 09:33,   

한국어

最近、映画制作会社と劇場運営者の間で、韓国映画の入場料収入の配分比率(賦率)再調整問題をめぐる確執から端を発して、劇場協会側がスクリーンクォータ制廃止論を持ち出すまでに至った。これを絶好のチャンスと言わんばかりに、財政経済部(財経部)はスクリーンクォータ制を縮小する方針を固めたと発表して、物議をかもしている。

「文化主権」を訴える映画関係者や知識人と、経済部門を担当する官僚たちとのスクリーンクォータ問題をめぐる対立が始まって、早くも数年になる。

このような論議を見守りながら、私はこの国の経済を牛耳る人たちが、何故あれほど近視眼的であるのか理解しがたい。専ら知っているのは経済だけで、文化の知識はないからであろうか。政権末期の、切羽詰った要求に従わなければならない、公務員という特定の立場に置かれているとはいえ、国の長期的な発展を優先的に考えるべきではなかろうか。

さらにこの政権は、歴代のどの政権よりも映画産業の振興に愛情を持っていた政権なのだ。先の、大統領選挙の際に現大統領が約束した公約を見ると、まるでいつのことかと思えるくらいだ。

ところが、政府の高官が映画界内部の小さなかっとうを機に、機会主義的にスクリーンクォータを犠牲にしようとしている。これを捨てて得られる政治的、経済的な反対給付が果してどんなものなのか気になる。

これまで、意識のある映画人がスクリーンクォータ制を守ろうと苦しい闘いを続けてきたから良かったものの、こうした努力がなかったとすれば、そしてこれを支持する世論の圧力がなかったとすれば、今ごろどうなっていたことだろう。当然ながら、米国の要求に直ちに屈していたことだろう。このように考えていると「屈辱的な外交」という古い単語や、言い過ぎかもしれないが「買弁」という、不愉快な単語まで浮かべてしまう。

韓国の政治家と高官たちは、なぜあれほど米国の機嫌を取ろうと躍起になるのだろうか。米国「当局」(「当局」が何を指すのかはっきりしないものの)の機嫌を損ねると、自分の身の上に何か大変なことが起こるとでも思っているのだろうか。米国は強大国だから、無条件に腰を折った方が良いということなのだろうか。それとも、米国の文化が最も先進的かつ普遍的な文化であるから、グローバル化時代において、それに追従することは必然的な傾向であり、すべての国々がそれに従っているのに、あえて私たちだけが突っ張る理由はないと判断したからなのだろうか。米国映画も、単なる娯楽だけでなく芸術的に優れたものが多いのだから、それを買って楽しめばいいのであって、わざわざ「野暮な」韓国映画などを作ったとしても、勝ち目はないという、恥ずかしい思いからなのだろうか。

この人たちの耳に「文化アイデンティティー」とか「文化の多様性」などを説明したところで、空念仏に終わるだろう。

米国の攻勢に対抗して、フランスをはじめとする欧州連合諸国が打ち出している「文化的例外」(関税と貿易に関する一般協定から世界貿易機関に至るまで、国際的な通商の交渉過程で登場したもので、映画をはじめとする視聴覚物は、各国の文化的特性とアイデンティティーに直結したものであるため、単なる商品として取り扱ってはならず、例外条項として特別に取り扱うべきだとする主張)などは、初めから神聖なる市場原理に反する理不尽な概念として見なすだろうから。私だけの早合点なのだろうか。

私のような「文化主権論者」の目には、今日の「韓国文化」、つまり「文化としての韓国」は、米国の大衆文化の辺境に位置づけているのに過ぎない。

東豆川(ドンドゥチョン)と梨泰院(イテウォン)だけではなく、ソウルの江南(カンナム)地区をはじめ、国中がそうである。米国文化の辺境、または準植民地と言われてもこれに反ぱくするのは容易ではない。米国文化の従属から離れ、真の文化的独立、即ち「文化主権」を取り戻すためには、多くの努力が必要である。

その意味でスクリーンクォータ制、つまり「韓国映画の義務的上映日数」は、実際的な必要性だけでなく、特別な象徴的意味も持っている。

しかし、このごろの情勢からみて、韓国が本当に独立国家であるのか疑いたくなる。私自身、完全にいかれた気分だ。

こんな時代だから、スクリーンクォータなどにかかわったところで、何の役にも立たない。米国の大統領の韓国訪問の際の土産にでもやってしまった方がましだ。そして、英語を公用語にしようとする人たちの仲間となって、小学校から大学まですべての教科書を英語に直そうと声を張り上げ、ひいては米国の五十何番めかの州に入れて欲しいと請願するキャンペーンを展開した方が、よっぽど率直な態度なのかもしれない。

アフガニスタンを瞬時に焦土化してしまったように、米国が先端の高性能爆弾を投下して北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の政権を電撃的に壊滅させれば統一も簡単にできるのに、と密かに期待している大韓民国の国民もかなりいるのではないだろうか。考えるだけでも恐ろしいことだ。

崔旻(チェ・ミン)韓国芸術総合学校教授(映像美学)