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言葉では統治できない、政策過程を掌握せよ

言葉では統治できない、政策過程を掌握せよ

Posted February. 23, 2008 05:30,   

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大統領中心制の韓国は、とりわけ大統領のリーダーシップに対する関心が高い。来週発足する新政権に対する期待のうち、相当部分も大統領のリーダーシップに寄せられている。国民が指導者に要求するリーダーシップは、主にビジョンの提示、決断力、人格、清廉などだ。リーダーシップのこのような要件は政策目標の樹立に有益だが、目標達成のための実践とは程遠い。

米ブッシュ政権で副大統領の国家安保補佐官を務めた著者は、「指導者は政策目標のために法、行政など、自分が活用できる多様な現実的ツールを正確に把握し、そのツールを変化する状況に合わせて効率的かつ賢明に使用できる能力を備えなければならない」と強調する。

著者は、このようなリーダーシップを「統治術」と位置づけ、指導者がこれを十分発揮できるいくつかの方法をアドバイスする。このアドバイスは、米国を中心とする西欧の経験に基づいているが、ここ数年間「大統領の善意が実際の政策で必ず望ましい結果につながるわけではない」という教訓に気付いた我々にも示唆するところが大きい。

流暢な話術よりも実行、調整能力が肝心だということだ。

著者は政策を言語に、統治術を文法に喩える。多くの指導者が言葉ばかり流暢に駆使すれば済むと思う。文法がなくても言葉は可能だ。しかし、実際には、言語(政策)の根幹を成すのは、政策決定の過程に対する体系的な知識(文法)だ。目標のための手段が統治術であるというわけだ。

統治術は行政、法、教育、経済など、さまざまな分野で活用されうる。著者は、「指導者は政策を作るだけでなく、政策を実行する主体」という。画一化した組織には熱情に欠けた行政官僚しかいなくなる。著者は官僚主義の弊害をけん制するには、大統領が組織をリードする中核人材の活用、組織再編の意思決定の過程まで関心を持たなければならないと助言する。

法の領域も立法部や司法部にのみ任せておいてはいけないというのが著者の持論。指導者は過度に詳細で理解しがたい法律に対する再考だけでなく、法を解釈し適用する裁判官の人格まで考慮し、法が特定階層や利益集団の道具にならないようにしなければならないということだ。著者のこのような考え方は、米国が「好戦的なイスラム勢力」のテロの脅威に立たされているという見方から出ている。このため、戦時と同様の強力なリーダーシップが求められるという説明だ。

著者のこのような主張には受け入れられるものと切り捨てるべきものが共存する。法、行政、教育など様々な政策過程で、指導者が積極的に乗り出さなければならないという考え方は、ともすれば権威主義的なリーダーシップ、帝王的リーダーシップに走る恐れがある。

しかし、これまでリーダーシップに関する議論は抽象的なビジョンの提示に止まっており、これから抜け出て、政策現実に対する正確な理解が必要だという著者の助言は、傾聴に値する。



zeitung@donga.com