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馴染みのない、しかし拒否しきれない誘惑の歌

馴染みのない、しかし拒否しきれない誘惑の歌

Posted January. 31, 2008 07:07,   

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純粋と退廃とが共存する感覚、といえばいいか。落ちついた美声の調べを聴けば、無邪気な子どものようにも感じられるが、精神を錯乱させる奇怪な機械音に心を奪われるうちに、この歌手の本性はどちらかという疑念にとらわれる。

グループ「デリスパイス」メンバーの金ミンギュが、ソローとして発表した「スウィートフィ」の3rdアルバムのタイトルは、「断りきれない提案」。映画「ゴッドファーザー」の台詞からとった名前だ。彼は、「僕自身に率直であろうとしたアルバムだから、新しいチャレンジをたくさんやった。慣れ親しんだ音でなくても断れない、心をひきつける音楽であってほしいと思った」と話す。

「スウィートフィ」はあまり知られていないが、6thアルバムまで発表したデリスパイスは聞きなれた名前だろう。「お前の声が聞こえる」という強烈なリフレーンが印象的な曲「チャウチャウ」と「告白」は有名だ。シンガーソングライターの彼は、男性デュオの「ジェジュ(才能)少年」を発掘し、李ソラの「初恋」を作曲した。李ソラが近く発表するアルバムのためにも1曲書いている。李ソラにばかり曲を書いているが、「僕よりメランコリーな歌手は彼女しかいないから」と言う。

ジャケットの表紙には、自分の写真数千枚で作った本人の顔が写っている。初めてアルバムの表紙に顔を出したが、目の周りを浅黒くするスモーキー・メイクは独特。彼は「僕という人間は臆病で弱い人間だけど、メイキャップをすると別人になったような気がする」と、理由を話す。

今回のアルバムのテーマは、「時間旅行」。日本のアニメ「時をかける少女」の影響を受けている。「ハル(一日)」は旅立ちを知らせる曲。最後の部分、まるで時間を逆戻りして過去にタイムスリップするような効果音が印象的だ。しかし、旅行のエピローグを飾る最後の曲「いちばん暗い夜の上へ」を夜聞くと、終わりそうもないサウンドの反復で精神が分裂しそうになる。彼は、「僕が意図したのはまさにそれ」と言い、にやりと笑った。

ユ・ヒヨル、「ウィンディーシティー」のキム・バンジャら多彩なミュージシャンの参加と、フェンダーロード、ハーモニカ、トランペット、シタールの演奏も聞きごたえあり。

特に、サン・ウリムの曲をリメイクした「お前の意味」は、デリスパイスのアルバムを通して継続してきたサン・ウリム・オマージュシリーズだ。2ndアルバムでは「動物園」の金チャンギの「忘れられていくこと」を奏法、唱法までそっくり複製しようとしたとすれば、今回は原曲を覆してみたかったという。「『お前の意味』は原曲もいいけど、余白が多くて未完成のような感じがするね。その空いている部分を音でびっしり埋めてみたんだ」。

2月14日・15日、ソウル江南区三成洞(カンナムグ・サムソンドン)の白岩(ベガム)アートホールで行われるコンサートでは、公演レパートリーをクラシックに編曲し、12人組のオーケストラと6人組のバンドが協演する。オーケストラのスペースを確保するため、約500席のうち100席を捨てた。ユ・ヒヨル、イ・ジョク、イ・ソクウォン、タルがプレイヤーとして一緒に舞台に立つ。問い合わせ02−559−1333。



salthj@donga.com