Go to contents

資源富国、国民を苦しめるエネルギー戦争を告発

資源富国、国民を苦しめるエネルギー戦争を告発

Posted January. 12, 2008 03:01,   

한국어

本書のタイトルは『新しい冷戦、資源をめぐる戦い』だ。ドイツ最高の時事誌『シュピーゲル』の記者たちが見通した「新しい冷戦」の背景は、エネルギー資源だ。

エネルギー大国は、自国の影響圏内で後進国に代理戦を戦わせる。その被害はそっくりそのまま後進国に戻ってくる。エネルギー大国は、資源の豊富な国ではない。エネルギー供給に決定権を持つ国だ。資源の豊かな後進国は、むしろ資源の恩恵を受けることができない。大国と結託した権威主義政府は腐敗し、国民は飢える。著者らは「天然資源の呪い」と呼んだ。

このように、原油、天然ガス、ウラン、鉄鉱石、石炭などをめぐり、絶対的ヘゲモニーを失った超大国米国、浮上する大国・中国とインド、新しいエネルギー大国・ロシアなどが、新しい合従連衝で緊張感のある勢力均衡を築いている。同書は、『シュピーゲル』の記者19人が、このような「新しい冷戦」の争点について明らかにした予測と分析だ。

著者らは、取材経験をもとに、石油とガスをめぐる戦争、エネルギー危機に対する恐怖、天然資源の生産と消費構造の現場を赤裸々に表現する。

本書の長所は、資源に対する国際的な洞察力だ。国際原油価格が最高記録を更新したというニュースを何気なく聞き流していた人々は、日常的に使うエネルギーが、世界の隅々で起こる血なまぐさい資源戦争の結果だという事実を改めて悟ることになる。

米政府は、ロシア政府の人権蹂躪に批判的だが、06年の主要8カ国(G8)会談で、シベリアに世界最大規模の核廃棄物最終処理場を建設し、その見返りに200億ドルを支払うことを約束した。インドには、核燃料と原子炉技術を提供すると言った。これについて本書は、「インドは核拡散禁止条約(NPT)に加入していない国だが、米国はむしろ好意的だ」とし、米国のダブルスタンダードを皮肉った。

では、新しい冷戦はどのように展開されるのか。本書は、新しい力の均衡を可能にした天然資源の絶対埋蔵量は、ますます減少していると指摘する。そして、資源不足が紛争を生み、軍事的衝突に発展すると見通す。なぜか。エネルギー大国は、生存に必要な原油貯蔵庫がある所なら、そこがどこであれ、武力で自国の要求を貫徹するからだ。

本書の分析によると、イランが特に注目される。イランは、莫大な量の石油と天然ガスが埋蔵されたイラク南部に、絶対的な支配力を行使している。最近の急速な経済成長で、エネルギー需要が急増した中国政府は、エネルギー確保のためにイラン政府のミサイル開発を助けている。イランと敵対関係にある米国は憤らざるをえない。

新しい国際権力として登場したエネルギー企業に対する分析も注目される。鉄鉱石事業で全世界供給量の75%を占めるオーストラリアの「BHPビリトン」などの3企業。これら企業が1週間だけ鉄鉱石の供給を中断しても、全世界の鉄鉱石産業がマヒし、世界経済が崩壊するという分析にはぞっとさせられる。原題『Der neue Kalte Krieg. Kampf um die Rohstoffe』(2006年)。



zeitung@donga.com