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「これがヘリスキーの醍醐味」

Posted January. 04, 2008 03:02,   

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全てが真っ白な雪に覆われた巨大な山岳で、ヘリで山頂に上り、もっぱら風や雲だけが通り過ぎ、肌のようにきめ細かな雪の上をスキーで下るときの感じ。これは楽しさ以上の喜びだ。スキーそのものから来る単なる快楽ではない。自然と自分が一つとなったことがわかったとき、いや、自然が自分を抱いてくれたと思われるときにこみあげる、平和から生まれる喜びだ。

ヘリも去った険しい山岳のある頂上。目の前に広がるのはもっぱら大自然のみ。雪山の高い峰が波のように体を起こし、大地を覆う山の海。風の音のほかにはいかなる騒音も聞こえてこない絶対的な沈黙の虚空。青い空や白い雪山の間には、自分以外のものは何一つないような気がする。このとき襲ってくるすさまじい孤独は、奥深さや重さ計るすべがない。自然に取り囲まれてからようやく純粋な感情を取り戻す現代人。カナダのセルカークマウンテン(ブリティッシュコロンビア州ケローナ)のヘリスキー旅行が人を興奮させるのは、ほかならぬこのためだ。44年の歴史を誇るヘリスキーの名門、CMH(Canadian Mountain Holidays)のゴシック(Githics)ロッジを紹介する。

●スキーやアフタースキーを100%満足させるCMH

土曜日午前、カナダロッキー山脈の玄関カルガリー(アルバタ州)国際空港。空港ターミナル3階のホテルロビーは、早朝からにぎわう。世界の各地から飛んできて、ここで一夜を過ごしたCMHヘリスキー参加者たちの出発準備のためだ。彼らを12ヶ所のロッジに運ぶバスはもはや到着して、貨物トランクを開けている。私が1週間泊まるために予約したところは、セルカークマウンテンのゴシックロッジ。44人定員のロッジには43人が予約済みの状態で、東洋人は3人のみだ。

セルカークマウンテンは、カナダロッキー山脈西側のコロンビア山脈にある。1964年、ここに到着したハンス・モーザーは、一目でこの山に魅了された。故郷(オーストリアアルプス)の郷愁を感じさせる風景のためだった。山岳ガイドの彼は、ここでヘリを思い浮かべた。ヘリで山に登り、スキーで下る幻想と共に。その幻想が現実となり、「ヘリスキーの元祖」CMHの神話のそのように始まった。

カナダロッキー山脈に向かって北上していたバスはバンプ(バンプ国立公園の中心タウン)を経由し、セルカークマウンテンの山の中に入った。なんと7時間のバス旅行。ゴシックロッジは、人家のない標高900メートルの渓谷にあった。客室はモーテル級だが、その他の施設は相当なレベルだ。特に気に入るのはスパ施設で、雪畑にサウナや蛇口まで備えている。ここは、午後3時ごろにスキーから戻ってきたスキーヤーが一番先に訪れる憩いの場。ワイングラスや缶ビールを手にして、ジャグジーに体をひたしたまま、もしくはサウナを終えた後、汗をさましながらおしゃべりをする場所だ。

スキーには2種類がある。スキーとアフタスキー(スキーを終えた後のレジャー活動)だ。CMHはこの主張を100%裏付ける素敵な場所だ。ヘリスキーもさることながら、アフタスキーはそれよりさらによくて素晴らしいためだ。真なるスキーヤーは、スキーに劣らずアフタスキーも「上手だ」。なぜなら、スキーを楽しむ時間は午前9時から午後3時までの7時間だが、床につく(午後10時)まで続くアフタスキーを退屈に過ごしていては、どうしてスキーの奥深さを味わうことができるだろうか。

しかし、少なくともそのような心配はCMHではしなくてすむ。スパに集まって一日の「出来事」の自慢話をしていれば、午後のひとときなど瞬く間に過ぎてしまう。そして夜になれば、「ワイン&ダイニング」が待っているから。ロッジでは家族のように一緒にディナーを楽しむ。その場所はバーを兼ねた食堂。そこのワインセラー(貯蔵庫)には手ごろな値段でいいワインがいっぱいある。おかげで我々は毎晩、順番を決めて自分が選んだワインを分かち合いながら、楽しい一時を過ごすことができた。3つのコースのディナーは一流ホテルのレベルで、ワインと一緒に楽しむにはこの上ない。

●1日10回の幻想的なダウンヒル

午前9時。ヘリから吹き付ける強風に、ロッジの庭に立っていたスキーヤーたちは皆、身をすくめた。ヘリは後部座席だけに12人が乗る中型。それで、11人ずつ4組に分かれて、組ごとに動く。組ごとにガイド(1、2人)がつくが、彼らは徹底的にトレーニングを受けた公式的な山岳ガイドでありスキーヤーでもある。ヘリコプターは1機が1日中山岳を上り下りしながら4つの組を順番に別の山頂に乗せていくが、一日の着陸回数だけでも150回に上るほど忙しく動き回る。

いよいよセルカークマウンテンのある稜線の上。標高2400メートルの稜線から眺めるセルカークマウンテンの風景に空いた口がふさがらない。その雪山に残る人は12人のスキーヤーのみ。急勾配の雪面に、先にガイドが下りた。その後をスキーヤーが一人二人、ついて行く。このゲレンデの雪が舞い上がる様子から見て、間違いなく昨夜に降った新しい雪だ。このような雪の上ではスキーをしても、プレートが雪の上には現れない。足で感じられる肌触りのやわらかさはこの上ない。

ヘリスキーのダウンヒルはいつも幻想的だ。私のスキーの跡を振り返りながら、雪面にちりばめられた素敵なSラインのカーブに皆、感心する。しかし、まだまだ先を急がなければならない。ヘリが到着する前に、待ち合わせの場所へと移動しなければならないためだ。しかし、その道程はそれほど簡単ではない。時には狭い渓谷の斜面を、時には森の中を通らなければならないためだ。ヘリを待つ間、休憩を楽しむが、この時、スキーヤーはチョコレートやパワーバー(エネルギー備蓄用のビスケット)を取り出してはエネルギーを補足する。ロッジの玄関に用意してあるが、滞在の間は限定なしで供給される。

ヘリスキーはこのように一日10回以上行われる。晴れて澄んだ日には日差しでまぶしい高い山頂で、曇りや雪の日にはもみの木の森でツリースキーを楽しむ。ツリースキーの中で出会う「ツリーウェル」(木の枝にさえぎられて雪が積もらなかったため、2メートル以上積もった雪によって井戸のようにへこんだ根元の空間)は伏兵だ。一度おぼれたら抜け出すことのできないほど深い。毎日、誰もいない雪山で、皆と一緒に集まって、ヘリで空輸してき熱いスープやサンドイッチ、サラダで食事をとっていたヘリスキーランチ。一生忘れられない思い出となった。



summer@donga.com