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アップルのグルー、純潔な「変わり者」

Posted December. 29, 2007 08:05,   

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2人のスティーブがいた。今は50代となった二人は、学生時代から有名な「変わり者」だった。二人とも電子工学に夢中になった「ワイアーヘッド(wirehead)」だったが、本物の天才は5歳年上のスティーブだったし、孤児出身で養子となったスティーブは、素足で歩き回り、瞑想に打ち込んだヒッピースタイルのワイアーヘッドだった。前者の宗教は科学だったが、後者の宗教は禅仏教だった。高校の先輩と後輩だった二人のスティーブが、それぞれ500ドルを投資し、1975年に設立した会社があの有名な「アップル」だ。

今日、アップルといわれれば浮かぶ名前のスティーブ・ジョブズ(52)は、「年下のスティーブ」だ。彼の高校先輩で、アップルの土台となった最初のパソコン、アップルコンピューターを作った人は、この本の主人公であるスティーブ・ウォズニアック(57)だ。

カリスマの塊であるスティーブ・ジョブズを嫌うアップルマニアたちは、アップルの真なる魂はウォズニアックにあると信じている。それで、ロックグループ「ビートルズ」が輩出した2人のスターに例えて、「ジョブズがポール・マッカートニーなら、ウォズニアックはジョン・レノンだ」という。

はたしてそうだろうか。内向的で隠遁気味のウォズニアックが、ジャーナリストのジナ・スミスと共に書いたこの本は、それが半分は真実であることを示している。この本は、「21世紀のビル・ゲイツ」として華やかに復活したジョブズに新たに照明を当て、05年発売された、「icon スティーブ・ジョブズ」(民音社)の後光の産物であり、反作用の産物でもある。06年、米国で発行されたこの本の原題はi(アップルの象徴)と始まり、「一時、私は(I was)」と同じ発音の「iWOZ」だということは、だから意味深い。

事実、いつも創造はウォズニアックの役目だったが、それを商品化した人はジョブズだった。不法の電話ハッキング装置「ブルーボックス」、30個のチップだけで構成されたアップルコンピュータI、パソコンの原型となったアップルⅡ…。彼は一人用のビデオゲーム、「ブレーキアウト」の最小集積回路を設計した収益として数千ドルを受け取ったジョブズが、これを700ドルだとうそをつき、その半分だけ自分に与えたと、さびしく告白する。

しかし、ウォズアックにとって金は重要ではなかった。ロッキード社のミサイル開発者だった父親から、3歳の時から電子学の原理を丹念に教わった彼には、「世界をより住みやすい所にするための機械装置」を開発する、エンジニアとしての使命がより重要だった。

5年後、アップルはナスダックに登録し、二人のスティーブは億万長者となった。そこで二人の運命は分かれることになる。ジョブズは経営者として権力ゲームに夢中になったが、ウォズニアックは自分の分の株式をアップル職員たちに、1株当たり5ドルというただ同然の価格で、1人当たり2000株ずつを手渡す、「ウォズ・プラン」を実践した。

1982年と1983年には、ウッドストック・フェスティバルの追憶を思い起こすため、2400万ドルの赤字にもかかわらず、「USフェスティバル」を企画・主催した。さらに、アップルが次第に「恐竜化」すると、新たな発明のため、最低賃金だけを受け取る正社員の身分のみ維持し、1985年にアップルから離れ、再び統合リモコンを生産するベンチャー事業家へと変身した。1989年からは、自分の子どもが通う小学校の教師として働いている。

確かにこのような風貌は、経営権争いの末、1986年に取締役たちによって追い出されたジョブズとは対比される。ウォズニアックがアップルの真なる「グルー(師匠)」と映るのもこのためだ。しかし、ビートルズの音楽を作ったのはマッカートニーだが、その霊感や精神を吹き込んだのはジョン・レノンだとすれば、アップルの技術を作ったのはウォズニアックだが、今日のアップルの企業文化やビジョンを発展させたのはジョブズだ。

このような違いは、音楽に対する二人の態度からも見られる。ウォズニアックにとって音楽産業は単なる高価な道楽だったが、ジョブズは音楽を武器に、アイポットやアイチューンズを開発し、アップルを復活させた。

本の末尾にウォズニアックはこう語る。「ある面でアップルは自分の人生の毒リンゴだった」と。自分の人生がアップルによって振り回されたから。それはジョブズも同様だ。30歳という若さで世界最高の座についたが、傲慢の末、墜落してしまったから。しかし10年余りの野人生活の末、一段と成熟した姿で復活に成功したジョブズは、その毒を薬へとかえる方法を学んだ。ジョブズが戻ってきた後、ウォズニアックもアップルの諮問役として復帰したことも、これを裏付けるものだ。人間的な魅力ではジョブズを凌ぐウォズニアックに出会うことで、かえって憎まれ役の代名詞だったジョブズの魔力も実感できるということが、この本の醍醐味ではないだろうか。



confetti@donga.com