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民衆の人生の中から時代を読む 『韓国民衆口述列伝』

民衆の人生の中から時代を読む 『韓国民衆口述列伝』

Posted December. 19, 2007 03:13,   

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平凡な人々の一生を記録した『韓国民衆口述列伝』を制作する「20世紀民衆の生活史研究団」団長の朴賢洙(バク・ヒョンス)嶺南(ヨンナム)大学教授は、「この作業は単なる学術研究ではなく、20世紀を生きてきた一人の市民の使命だ」と強調した。研究団は昨年、15巻を発行したのに続き、最近、さらに13巻を刊行した。写真集も何冊か出している。研究費は6年間、学術振興財団から70億ウォンあまりの支援を受けてきた。

『韓国民衆口述列伝』の一冊一冊には、日本植民地時代や韓国戦争など、激動の現代史を生きてきた民衆の人生が盛り込まれている。一時、左翼運動に夢中になっていたナ・ドクウンさん、60年間、カメラマンとして全国を旅したユン・ヨングクさん、バムソムで大工の仕事をしていて、韓国戦争の際、渡し舟で戦争から逃れてきた難民を乗せてあげた船頭の李イルヨンさんなど、歴史の現場を生きてきた彼らの人生を、話し言葉で記録した。

朴教授は、「韓国のように過度の開発主義で過去を破壊した国はほかにない。このまま行けば、根を持たない映画のセットの中で生きる羽目になるだろう」と語り、『韓国民衆口述列伝』の意味を強調する。

研究団は、記録が恣意的になる可能性を最小にとどめるため、何も加えず、聞いた通りに記録する。しかし、言葉は記憶にのみ頼るため、正確でないくだりもある。

「だから、文献資料を完全に排除しているわけではありません。時代を証言する人と、物語を記録した研究者が向かい合ったとき、初めて個人の歴史は社会の歴史になります」

朴教授は、「民衆は自分の日常的な知識がどれだけ貴重であるかを知らず、歳月に埋もれて消えている」と、歴史を証言する彼らの記録が急務だと主張する。1936年、朴テウォンが清溪川(チョンゲチョン)の庶民たちの生活ぶりを描いた『川辺の風景』や、1970年代のセマウル運動が盛んな時代に作られた劇映画のシーンに含まれた意味をきちんと解釈できる人たちがいなくなったためだ。

研究団は、口述の主人公として韓国生活史の断面を示しながら、全体を代弁する人を探している。ところが、そこに研究団の悩みがある。農業をやっていたが、1960年代の産業化時代に都市に出てきて、労働者や自営業者となった80歳以上の老人を探すことも有意義だが、このような平均的な韓国人だけでは、20世紀の生活史を説明しづらいためだ。そのため、ソウル鍾路区楽園洞(チョンノグ・ナグウォンドン)で毎晩、サックスを吹きながら店からの呼び出しを待つ年老いた楽士なども、『韓国民衆口述列伝』の事例となった。

研究団は、調査の対象者一人当たりに普通100時間あまりかけて話を聞き、その人が持っている写真や生活道具などと比べながら、パズルをあわせるように記録する。記録時間は、口述時の5倍以上もかかる。

朴教授は語る。

「独立直後、一時、映画フィルムで麦藁帽子のふちを作って使ったことがあります。もはや国内では見つけることができません。ところが、米国のスミソニアン博物館にはこの麦藁帽子があるそうです。恥ずかしいことですね。20世紀にはそのような恥を再びかかないように、この作業が国民的なキャンペーンになればと思います」



zeitung@donga.com