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華麗なる画面の中の方向を失ったファンタジア

華麗なる画面の中の方向を失ったファンタジア

Posted December. 18, 2007 05:25,   

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全世界で1400万部が売れたフィリップ・プルマンの3部作小説「ヒズ・ダーク・マテリアル(His Dark Materials)」のうち、第1巻を原作とした『黄金の羅針盤』は必然的に『ロードオブザリング』の3部作と比べられざるを得ない。

『ロードオブザリング』で興行や批評で最高の成功を収めた米国の製作会社、「ニューラインシネマ」が新たに始めるシリーズだからだ。『ロードオブザリング』や『ハリーポッター』に劣らぬほど、読者の忠誠度の高いという原作小説。さらに、ファンタジー映画の高い制作費のため、誰もやることのできなかった超豪華なキャスティング。はたして『ロードオブザキング』を乗り越えることができるかが最大の関心事だった。結局それはできなかったが。

●見所満載のファンタジー

仮定してみよう。宇宙には地球のようなところは無数に多い。その中には地球のように魂が人間に宿っているところも、『黄金の羅針盤』の世界のように、魂が人の隣に動物の姿をしている「デモン」として存在するところもある。その多くの世界は、「ダスト」という物質でつながっている。すなわち、この物質を利用すれば、ほかの世界に移動することができるというわけだ。

物語は、学者で探検家のアスリエル卿(ダニエル・クレーグ)が、「ノースポール」でダストを発見することから始まる。絶大的な権力を有する支配勢力「マジステリウム」は権力が脅かされることを嫌って、彼の研究をやめさせようとする。いっぽう、アスリエル卿の姪の少女ララ(ダコタ・ブルー・リチャード)は、予言と共に伝わる一種の嘘発見器である黄金の羅針盤を手にし、自分はこれを守るべき運命であることが分かる。そのララにコルター夫人(二コル・キッドマン)が近づき、ノースポールへの旅を提案する。

約1800億ウォンの制作費のうちコンピュータグラフィック(CG)だけに720億ウォンを投入して作った背景やキャラクターは、ファンタジー映画の楽しさを十分に伝える。とりわけ目を引くのは、デモンやララを助ける熊種族のアマーベアー。猫や豹などの動物の姿をしているデモンと話を交わし、お使いもさせることができるが、デモンが病気なら、主人も一緒に病気になる。今にも後ろからコカコーラビンを取り出しそうな(CFとそっくり)二人のアマーベアーが、かぶとだけを身につけ、素手で「喧嘩をする」「熊の戦い」はこの映画の圧巻だ。

●余りにも多く、早すぎる

プルマンの原作は、明確な上、反宗教的で、汎神論的な世界観を盛り込んでいる。小説の中で、マジステリウムはキリスト教の根本主義の団体を意味する。しかし、同映画は宗教的な色彩が強くない。米国のメディアは、脚本まで書いた監督クリス・ウェイツがプルマンの世界観を薄め、結果的に原作ファンや宗教界を共に失望させたと報じた。米国のカトリック団体では、報道資料をまとめ、「弱体化された内容のため、両親が子どもにこの映画を観覧させるだろうし、子どもたちはクリスマスのプレゼントとして、原作小説を買ってくれるようにねだるだろう」と懸念した。

複雑な象徴や多くのキャラクターを全面にだしたが、結局、この映画は、少女ララの冒険に止まり、その冒険の当為性もうまく説明できなかった。映画評論家の金ボンソク氏は、「『ロードオブザリング』は絶大指輪が何であり、だからそれを探しに行かなければならない概念などを明確に表現しているが、『黄金の羅針盤』は多くの象徴やキャラクターの登場にだけ汲汲している」と語った。

確かにキャスティングは豪華だ。真っ白な肌に金髪、黄金のドレスをまとって、黄金猿のデモンを従えた「ゴールドンレディー」の二コル・キッドマンの冷たいカリスマ性は光を放つ。ニューヨークタイムズは、「しわ伸ばし注射をうったマリリン・モンロー」だと皮肉ったが、一方、ダニエル・クレーグやエバー・グリーンは、少しだけ顔を覗かせ、存在感が極めて弱い。映画の最後の部分では、続編での彼らの活躍ぶりをほのめかす。中途半端な結末に、原作ファンはがっかりするだろうが、さまざまな面で、「味見」だけで終わったこの映画の続編は、これからさらに巨大な物語で展開されるだろうという期待を持たせる。全体観覧可。



yourcat@donga.com