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映画『マイケル・クレイトン』

Posted November. 27, 2007 06:17,   

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成功率100%、彼は「フィクサー」だ。「奇跡の男」とも呼ばれる。

表向きは大手法律事務所の弁護士だが、裏では法律事務所のクライアントが事故を起こした時に厄介事の後始末をする「影の処理人フィクサー」。彼の名は『マイケル・クレイトン』(29日封切り)だ。

離婚したマイケル(ジョージ・クルーニー)は、借金もあって憔悴した生活を送る。ある日、巨大企業Uノースに対する集団訴訟を担当した同僚弁護士アーサー(トム・ウィルキンソン)が、法廷で服を脱いで暴れ出す。「フィクサー」のマイケルは、Uノースのためにアーサーを説得するが、アーサーは「真実は捏造された」という言葉を残して遺体で発見され、マイケルはUノースの機密文書を発見する。

●アカデミー用の映画?

製作陣を紹介するには息切れするほど、ビッグな顔ぶれだ。監督は、『ボーン・アルティメイタム』など『ボーン』シリーズ3作を手がけた脚本家のトニー・ギルロイ。彼の初監督作だ。

プロデューサーは、『トラフィック』、『オーシャンズ』シリーズの監督スティーヴン・ソダーバーグと『イングリッシュ・ペイシェント』の監督アンソニー・ミンゲラ。助演に『愛と哀しみの果て』の監督シドニー・ポラックまで登場する。みなアカデミー監督賞を受賞した人々だ。ジョージ・クルーニーも昨年、『シリアナ』で助演男優賞を受賞しており、完全な「アカデミー・ラインアップ」。封切り後、米国のメディアは、「ジョージ・クルーニーがアカデミー主演賞を受賞する番だ」と予告した。「セクシー・ガイ」ジョージ・クルーニーは最近、政治色の強い映画に相次いで出演(『シリアナ』)・監督(『グッドナイト&グッドラック』)し、米国に批判的な発言をしたことで、「ハリウッドの良心」と再評価されている。

映画は確かにアカデミー趣向だ。単純に「面白いか」と問われたら、そうでもない。米国でも興行には成功しなかった。しかし、俳優たちのすばらしい演技、テクニックに走らない重厚で品格のあるドラマは、「巨大企業の陰謀に立ち向かう男」という平凡なストーリーの映画をありきたりなハリウッド・ドラマと差別化する。

●サスペンス・スリラーというよりも人間ドラマ

スティーヴン・ソダーバーグの『エリン・ブロコビッチ』と比べてみよう。ジュリア・ロバーツにアカデミー主演女優賞を抱かせた『エリン・ブロコビッチ』は、平凡な女性が情熱的に大企業の陰謀を暴き出し、勝利するという内容。いっぽう、似たコンセプトで、主人公の名前がタイトルであることも同じ『マイケル・クレイトン』は、『エリン・ブロコビッチ』風の「肯定的なエネルギー」を拒否する。この映画は憂うつで暗い。マイケルは、金のために汚い仕事をするという罪悪感を持ちながら、「仕方ない」と割り切って現実と妥協する人物だ。悪いとは言わないまでも、ただの平凡な人間にすぎない。

映画の序盤は、アーサーの行動とマイケルの説得、そしてマイケルの暗い状況だけを長々と見せる。そして、マイケルが変わらざるをえない状況を静かに説得力をもって提示し、最後に会心の「一発」をくらわす。すごい反転もなく、主人公が大企業の不正を暴く過程をスリルに描くわけでもない。

スリルのないサスペンス・スリラー。むしろ、マイケル・クレイトンという一個人がどのように変化するかを描いたドラマというのが適切だ。マイケルは英雄ではなく、別の同様のテーマを扱った映画の主人公のように格好をつけることもない。終始さ迷う現実的な人物マイケルが与える本当の教訓は、アーサーの問いかけによく表われている。

「大変なことが起こる。彼らは真実を受け止める準備ができていないだろう」。普通私たちは真実を知っているが、認める準備ができていない。



yourcat@donga.com