Go to contents

人里離れた山道で本当の自分を取り戻そう 慶北・奉化の秋

人里離れた山道で本当の自分を取り戻そう 慶北・奉化の秋

Posted September. 28, 2007 03:17,   

한국어

夏の輝きと秋夕(チュソク、陰暦8月15日の節句)のにぎわいも落ち着いた今こそ、思索の場を探す時だ。二日後には暦は10月に入り、季節は冬に向かって駆け抜けていく。

閑散とした街、ソウルから遠く離れた街、都会より一足速く秋が訪れる山郷、慶尚北道奉化(キョンサンブクド・ポンファ)を訪れた。昔から奉化は、その「距離感」ゆえにソウルを離れた多くの学識者が住居を構えた地でもある。

●自分を振り返りたくなる清涼寺

「仏殿内と石塔の前が、瞑想の場として人気があります」

瞑想にいい場所があるかと聞くと、清涼寺(チョンニャンサ)のソク・チヒョン住職がこう教えてくれた。また同氏は、「自分探しには時間や場所を構う必要がない」とも話す。一日の日課を終え、寝床につく前の5分間でも自分を振り返る時間を持てば、心が揺らぐ瞬間は減っていくという。自分の心を十分に把握していれば瞑想時間は20分、30分とだんだん長くなるはずだ、とも付け加える。

清涼山道立公園内にある清涼寺は、一般の寺院とは違って、岩山の急勾配の斜面に位置している。寺を包むようにそびえたつ岩山の峰は絶景だ。寺の入り口には小さな茶屋があり、趣を深める。

毎年この頃には、秋の夕を楽しめる「山の寺の音楽会」が開かれる。今年には韓国伝統音楽家のチャン・サイク氏を招待し、10月6日午後7時、「星空の散歩」というテーマで音楽会が開かれる。音楽会が開かれる際には境内の斜面路全体が全国から訪れた人々で埋め尽くされる。

清涼寺にはいくつかの部屋はあるが、修業者にのみ開放される。清涼寺054−672−1446

●心が和む晩山古宅

清涼寺から国道35号線に乗って春陽面(チュニャンミョン)に向かう。春陽面には1878年(高宗15年)に建てられた「晩山古宅」がある。今も人々が生活している「現役」の邸だ。5代目のカン・ベッキ(62)さんが暮らしている。

春陽小学校の向かい側にあるこの邸宅は、朝鮮時代の家屋様式が残されていることで有名だ。周りにもこのような古宅やあずまやが多く、古めかしい雰囲気を堪能できる。

奉化は朝鮮時代、丙子胡乱(清による朝鮮侵攻)の屈辱に耐えきれず、ソウルを後にした5人の学識者(太白五賢)が定住し、交流を深めていた地でもある。その末裔らは、太白五賢が会合をもっていた「渦旋亭」の名前にちなんで「渦旋亭の集い」を結成、交流を続けている。

両脇に長々と使用人部屋が続く「晩山古宅」の正門をくぐると、広々とした庭に出る。右側には垣根で囲まれた離れの「七柳軒」が、左側には書斎がある。3間の部屋と大きな居間がある「七柳軒」は、故宅で泊まってみたいと思う人々に公開する空間でもある。芸術界の著名人や古宅を愛する人々がたびたび訪れるという。

奉化はまだ純粋な人情を感じられる町である。マツタケが取れる9月末から10月初めに奉化を訪れると、古びたラーメン屋でもマツタケ入りのラーメンを味わえる。もちろん、マツタケはサービスだ。商品としての価値が落ちるものなので売りに出さずに家族で食べようと置いていたマツタケを「観光客にも味わってもらいたい」と出す、そのような町だ。

「晩山古宅」のカンさん夫妻も敷地400坪の「七柳軒」を観光客に貸す。部屋が3つもあり、家族同士で一緒に泊まることもできる。古宅の管理費に当てる宿泊料は、10万ウォン。カンさん夫妻はこの宿泊費を受け取るたびにばつの悪そうな顔をする。モーテルの宿泊料も10万ウォンはするのに。054−672−3206

●癒しの力を秘めている金剛松林

晩山古宅から江原道寧越(カンウォンド・ヨンウォル)方面へ約10分間、車を走らせると、奉化の高冷地薬草試験場を過ぎてすぐ、金剛松(赤松)林が見える。昨年下半期から一般に公開された奉化群金鋼松林だ。林に足を踏み入れると、樹齢60年〜80年の金剛松が放つ香りが芳しい。

金剛松は松の中でも「一番の品質」とされる。すんなりしていて背が高いから「美人松」、樹皮が赤みを帯びているから「赤松」、木の内側が黄色いから「黄腸木」、木材の集積地が春陽なので「春陽木」など、いろんな名前を持つ。

金剛松は、自ら枝を切り落とす。成長するにつれ、下の方の枝を枯らして、枝ごと枯れ落ちるようにするのだ。常に自分の身の周りをきちんと片付ける、そのような人生を送っているように見える。

金剛松林では跡継ぎのための作業がたけなわだ。伐採をして陽光が入るようにし、草を刈って地に落ちた金剛松の種が根を下ろせるようにする。

1.5キロほどの散歩道を「森解説者」の説明を聞きながら歩くには約1時間がかかる。森解説者の李ギメさんは、「森が秘めている治癒の力を信じて遠く都会からも多くの人が訪れている」と微笑んだ。公開したばかりなので利便施設はない。

栄州(ヨンジュ)国有林管理事務所に電話して予約すれば、森解説者の説明が聞ける。054−635−4253

奉化群のいたるところでリンゴの木を見かけるのも愉快な経験だ。奉化を代表する食べ物としては、「マツタケ釜飯」「漢方薬牛肉」「鳳城(ポンソン)豚肉炭火焼き」がある。

折りよく奉化群は29日から10月2日まで、「春陽木マツタケ祭り」を開催する。金剛松で伝統家屋を建ててみたり、マツタケ刈りを楽しむなどのイベントに参加できる。



jameshuh@donga.com sannae@donga.com