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当代の碩学110人の危ない考え

Posted September. 01, 2007 08:05,   

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「利己的な遺伝子」、「神は妄想である」のリチャード・ドーキンス、『人間の本性を考える』のスティーブン・ピンカー、『木を見る西洋人 森を見る東洋l』のリチャード・ニスベット…。名前を聞くだけでも最新の研究成果が知りたくなる碩学らに一つの本で会えるとすれば。

目が行くしかない。この本は世界碩学110人の「危ない考え」を順に聞かせる。危ない考えとは何か。「当代の価値と道徳に反するが、世の中を変える考え、科学的に間違ったからではなく、正しいために」危ないというのだ。

世界の科学者と思想家らが学問的成果を討論するために作った集まりである「エッジ(edge)財団」の会長である著者が綴った。心理学、生物学、ロボット工学、認知工学、遺伝学など学問分野を行き来する学者らの「危ない」主張がそれぞれ3、4枚のページで繰り広げられる。

「犯罪者ではなく、犯罪者の遺伝子を罰しなさい」というドーキンスの主張は道徳的な観点で見れば本当に危ない。犯罪者を処罰せずに犯罪に至るようになった生理的、遺伝的、環境的要因を考えろとのことだが、今日の刑法制度を否定する考えだ。ドーキンスは犯罪者を故障した車に喩え、これを修理するか部品を交替せずに、自動車を走らせる愚かさを繰り返さないようにと主張する。

進化心理学者のデービド・バスは、人間は生存と繁殖のために繰り広げられる無慈悲な進化過程に適応してきており、繁殖に必須の資源を確保するための最も效果的手段は殺人だったと主張する。現在も「私たちの共同体の進化」を邪魔する対象を悪と考えているわけどだ。イスラムの極端主義者が米国人を殺し、米政府が彼らを攻撃することが根拠だ。米国の観点からすれば悪だが、極端主義者の考えでは善の行為だ。反対も同様だ。彼は人間の本性に暗い面があるということを否定することがもっと危ないと語る。

ピンカーは、人間は特定集団によって遺伝的に才能と気質が違うと語る。人種主義と民族の優越性を正当化する主張で、強い反発にぶつかった考えだ。

この本を貫く考えは、主流知識は道徳的幻想に捕らわれたとのことだ。今の時代に必要なのは「…しなければならない」という当然の命題ではなく、「…だ」という事実命題という前提がある。動くことのできない事実がたとえ非道徳的でも、道徳的物差しで無視してはならないというのだ。凡人の価値と道徳が学者らの主張を追い付くことができないのか、学者らの主張が途方もないことかの判断は読者に任せる。ただこの危ない考えの根拠をもっと聞いて反論するるには、学者らに与えられたページ量が少ない。



zeitung@donga.com