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教授の休憩室の門がアリスの「ウサギの穴」

教授の休憩室の門がアリスの「ウサギの穴」

Posted May. 12, 2007 08:26,   

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英国の大学都市オックスフォードは夢の都市だ。ここで勉強した多くの学生とそうでない人々(トーマス・ハーディの『非運のジュード』)にとってそうだB中でもここの出身者が書いたビクトリア時代の童話1冊がオックスフォードをナンセンスとファンタジーの中心とした。

「ここは英国ではなくクライストチャーチです」

オックスフォード大学で唯一山高帽子をかぶるクライストチャーチ・カレッジの守衛は、このように話す(ドイツの美術批評家であるピーター・ジャゴ、『オックスフォード&ケンブリッジ』カブイン工房)。13人の英国首相を輩出し、規模もカレッジの中で最も大きいというプライドを表したものだ。

とにかく入場料まで払うクライストチャーチ・カレッジに入ると、新ゴシック様式(1640年に建立)の雰囲気が観光客を魅了する。この雰囲気で全く異なる性格の本2冊が出た。理性に関する代表的な本がジョン・ロックの「人間悟性論」だとすれば、ナンセンスとファンタジーに関する代表的な本としてはルイス・キャロル(1832〜1898)の『不思議の国のアリス』が挙げられる。後者は、キャロルのもう一つの本『鏡の国のアリス』とともに、英国文学でシェイクスピアの戯曲に続き、二番目によく引用される。

1865年に発表した『不思議の国のアリス』は、このカレッジの数学科教授(lecturer)だったキャロルが学長のヘンリー・リデルの幼い娘3人とテームズ川でボートに乗って遊びながら聞かせた話だ。二番目の娘のアリスは誰よりキャロルの話に耳を傾け喜んだ。

昔の図書館を経てホールにつながる階段の上にある扇形宮隆の天井に、観光客たちは再び圧倒される。しかし、階段の下で人々は午後2時になるまで待たなければならない。このホールはカレッジの食堂に使われているからだ。大きなこのホールは映画『ハリーポッターと賢者の石』で魔法学校ホグワーツの大講堂として出た。

「あそこのあの上にあるのがチョッキを着たシロウサギで、その横にあるのがウミガメモドキだ」

背の高い男性の観光客が幼い息子を抱き上げて指で「アリス窓」を示す。この本に登場する各モチーブがステンドグラスに表現されている。

ホールにはつやが出るように磨いてある長いクヌギの食卓と背中の支えが高い新ゴシック式の椅子が一杯だ。皿にはカレッジの文様である枢機卿の帽子が描かれている。

このカレッジが輩出した人士らの肖像画が描かれた金色の額縁がずらりとかけられているが、入口のすぐ右側にあるのがルイス・キャロルの肖像画だ。まるでミニ・ナショナルギャラリーのようだ。

肖像画のためによく目立たない門がある。教授の休憩室であるシニアコモンルームにまっすぐつながる門だ。これがまさにアリスがシロウサギを追いかける「不思議な国」に転がり落ちることになる「ウサギ穴」という説明もある。

アリスは下へ下へと落ちてゆく。「こうやって地球を通り抜けるんじゃないかしら!頭で歩く人たちの間にぱっと現れたら、面白いだろうな!それを『対錘点』(今度は誰も聞いていなかったから嬉しかった。ちゃんと話さなかったみたいだから)っていうんだっけ…」(『不思議の国のアリス』、ピリョンソ)

アリスは地球の反対側に位置した「對蹠点」(antipodes)を「antipathies」と間違って言っている。国内で出版された諸本はこの言葉を「対錘点」をはじめとして「極蹠点」(シゴンジュニア)「対立点」(ベトルブック)と翻訳しており、「嫌悪感」(チェクセサン)と直訳したものもある。

最も読みやすく翻訳したと言われる金ギョンミ氏は「この話には言葉の遊びが多い」と言う。ジェイムズ・ジョイスから「現代文学のゴッドファザー」と称えられたキャロルであるだけに本の中には言語的遊戯が多い。それで翻訳しにくい作品として挙げられる。

アリスの冒険は言語的実験の連続だ。ここにキャロルは厳しい教授世界に対するパロディーを忘れない。アリスの目と口を通じ、大人の世界の慣習は解体され、ナンセンスが支配する「不思議な国」になるのだ。

ここからボドリアン図書館を経て少し歩くと、恐竜のイグアナドンが今にも飛びかかりそうな姿勢で訪問者を迎える大学自然史博物館がある。

キャロルの本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドジソン。博物館の展示物をよく見れば、1683年に入ったドードーの標本を見ることができる。本人の名前を言う時に「ドー、ドー、ドジソン」とどもったキャロルは、この絶滅の鳥と本人を同一視しており、本にも登場させる。



kjk9@donga.com