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山ツツジの道を登ると、手強い人生が軽くなる

山ツツジの道を登ると、手強い人生が軽くなる

Posted May. 11, 2007 07:55,   

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こどもの日の5日。ソウル光化門世宗路(クァンファムン・チョンノ)の裏側の道路には朝7時から人や大型バスでにぎわった。旅行会社の観光バスだッでも10台あまり。行き先もまちまちだ。その中でとりわけ目を引く行き先があった。烽火山(ポンファサン、全羅北道南原)だ。計3台が待っていた。

同日、烽火山では朝鮮山ツツジが満開した。だから、訪れる人が多いのは当たり前。しかし、記者の関心はそれにとどまらなかった。同じところを訪ねても、皆違うスタイルで旅を楽しむ人たちに向けられた。この3台のバスで旅立つ旅人は、そのスタイルが変わっていた。2台のバスには山ツツジを見物するための花道トラッキングの旅行者たちが乗った。残りの1台には智異山(チリサン)や徳裕山(トギュサン)をつなぐ白頭大幹の烽火山を求め、山ツツジの稜線を通過して頂上まで上る「白眉大幹」という大幹登山の旅行者だった。

それだけに旅行者の構成や服装も違っていた。散歩旅行者は運動靴に軽い服装だった。子ども連れの家族が多く、20代のOLから中高年の夫婦まで、年齢層も多彩だった。しかし、白眉大幹の大幹登山への参加者たちは皆、登山服の様子だった。記者は山ツツジの見物旅行者たちに同行した。最近、関心を集めているトラッキング旅行を体験するためだった。

光化門を出発して蚕室(チャムシル)駅で、参加者をさらに乗せた後、高速道路に差しかかったバス。最初の到着地は智異山麓の咸陽(ハミャン)にある「サンリム」だった。サンリムは渭川(ウィチョン)という水辺に広がる長さ1.5キロの美しい森。9世紀末、ここ咸陽に太守として赴任した新羅(シルラ)の文豪・崔致遠(チェ・チウォン)が洪水に備えて造成したが、歴史が千年を超えており、「千年の森」と呼ばれる。

ここから南原の烽火までは自動車で30分の距離。山ツツジのトラッキングに先立って「予告編」の性格として組み入れたコースだが、そこには理由があった。まず、サンリムそのものを見せるつもりだが、そのうえ、周辺に五穀で炊いたご飯を出すおいしい料理屋もあったためだ。旅路での食事は、旅そのものだといえるほど重要だ。トラッキング旅でもそれは同じだ。

食後に訪れたサンリムの森の影。体中が緑で染まるような濃い色を帯びている。5月の新緑のあざやかなさわやかさ。極楽極まりない。さらに、森の外の強い日差しのもとで、27度まで上がったこの日なら、森の中に一歩踏み入れただけでも天国を感じてしまう。木陰の濃い森の中には細道もあり、高架橋もあり、その下では清い水が流れる。

空き地にはあずまやも何軒かあった。あつまやごとに遊びにきた家族連れが目に付く。子どもたちはこの森で感じるだろう。暑い日ざしや蒸し暑さを防いでくれる森や自然のありがたさを。そのありがたさをこのように切実かつ鮮明に感じられるところ。サンリムでないと、平地では目にすることすらできないだろう。

散歩の後、バスは烽火山に向かった。そして、旅人たちをポクソンイジェに上る登山道の前に降ろした。バスは稜線の向こう側で待つ計画だ。一方通行のトラッキング旅行こそ、旅行商品の持つ特別なメリット。直接車を運転してきたら、上った道を再び下るしかないから。ここから山ツツジの稜線までは遠くない。山ツツジは白頭大幹の山の線に自生するが、道端から山道で20分ぐらいでいける。

ポクソンイジェに上る山道は少し険しいほう。なのに子どもたちはよく歩く。ゆっくり、気をつけながら、両親の後をついて慎重に足を運ぶが、すぐになれてくる。マンションで育った子どもにしては非常に適応が早い。山麓に村が一望できる見晴らしのいい山の中腹。「ヤッホー!ヤッホー!」と叫ぶ声が子どもたちの口から続けざまに出てくる。気持ちのいい風景は、だれもが同じように感じる。

ポクソンイジェに上る山道にも山ツツジが咲いていた。しかし、山頂に上ると、その光景はすぐ忘れられる。主な稜線の下に、山を赤く染めた巨大な山ツツジの群落があるからだ。麗水(ヨス)の霊鷲山(ヨンチサン)で目にした赤いツツジの群落と余りにも似ている。記者はそっくり似ているその様子を思い浮かべながら、母親なる地球が我々にくれたこの山河の自然に感謝した。

山ツツジが森をなしたところは白頭大幹の稜線の上だ。智異山で始まった大幹の幹が北側の徳裕山に向かって走っている。群落区間は400メートルぐらい。ポクソンイジェに上った旅人たちは、烽火山の頂上につながるこの大幹の稜線に伝っていくが、群落地に足を踏み入れると、その道は大人の背丈ぐらいに育った山ツツジの森の中を通るトンネルへと変わる。その道は両方からきた二人がすれ違うほど狭い。

山ツツジに覆われた烽火山の峰。ツツジが炎でもあるかのように、回りがその火の手で燃え広がる。その様子はポクソンイジェでも美しいが、下ったチジェからコブランジェの方に100メートルぐらい上って、見下ろせばさらに華やかだ。そして、朝よりは午後がよい。午後になってからようやく花咲いた斜面に日差しが当たるからだ。午前にサンリムを訪れるように仕向けたのは、このような部分まで考えた旅行会社のノウハウだ。

これからは下り道。チジェから駐車場までは険しい山道は木でできた階段道。そして下っている間中、左にはツツジで覆われた山の稜線が旅人たちを見送る。南原市は自生群落の下の手前の稜線にも山ツツジを植えた。その小さい木から柔らかな花が咲き始めた。これから数年後にはこの階段の周辺もそのようにきれいな山ツツジの花畑に変わるだろう。皆そのような思いにふけったのだろうか。下り道の人々の表情が幸せそうに見える。



summer@donga.com