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「愛を撮って、幸せを編集します」 映画『京義線』の朴フンス監督夫婦

「愛を撮って、幸せを編集します」 映画『京義線』の朴フンス監督夫婦

Posted May. 03, 2007 08:28,   

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●「妻が製作者の役割をきちんとやってくれました」(朴フンス監督)

前作『逆転の名手』が興行と批評の両方で苦戦した後、かなり気苦労した朴監督には以後、気に入るシナリオが入ってこなかった。「こうなったからには話したいストーリで直接作る」と決心して、シナリオを書いた。奥さんの朴ゴクジ技師がこのシナリオを1次で「審査」して「いける」という確信を与えた。

「偉いわけではなくて、運が良くて、私はいつも中心にいたんです。(彼女は国内で最も有名な編集技師だ。)映画で生活してきましたが、最も大切なのは家族です。お金を稼ぐというより、主人を幸せにしたいという気持ちでこの映画を作りました」(朴技師)

低予算映画とばかり見られるのではないかという心配から制作費も明らかにしなかったが、忠武路(チュンムロ、韓国の映画制作関連会社が集まっている街)のA級スタッフばかりが集まった。朴技師のおかげだ。「私がちょっと詐欺を働いたんです。『監督さんが韓国で最も上手なチームとしかやりたくないと言っているんですけど、私たちはお金がありません。どうします?』って」。

男の主人公、金ガンウが地下鉄の機関師の役なので、必ず必要だった線路や列車での撮影のため、都市鉄道公社の許諾を取り付けたのも朴技師だ。1ヵ月間説得しても駄目だったことを1週間で解決した。誰かが監督を苦労させると、裏で「穏便に」処理したのも朴技師だ。「この人は誰と話しても口説ける人です」(朴監督)

●「我が家を撮るとしたら、どのように編集するだろうかと想像します」(朴技師)

映画には朴監督の体験が多く盛り込まれている。ソウル大学独文科出身で、ドイツへ留学した経験を生かして、女の主人公が独文科の講師として出てくる。朴監督は昔、釜山太宗台(プサン・テジョンデ)で自殺しそうな女性を目撃したことがあるが、その女性が似たような境遇の男と対話をするなかで傷をさらけ出すストーリーを構想しながら、全体の構成を練った。

映画『京義(キョンウィ)線』は、主人公らが会うところで、途切れているが、まもなくつながる鉄道。鉄道がつながるように人と人がつながり、2人はお互いを癒しあう。朴監督が考える人生や結婚の意味もこれと違わない。映画は2人の男女の現実的な悩みを具体的に描いて生命力を得た。そのような現実認識も朴監督の体験的な結論だ。

映画の中で自分が「無価値な人間のようだ」というハンナ(ソン・テヨン)に対し、先輩は「結婚して子どもを産んだら、生きるというのが具体的に変わる」と話す。朴監督は、「若い頃は『人生がどうのこうの』言いながら抽象的に考えていたんですが、今は子どもたちを見ながら『この子たちに教育を受けさせるには、たくさん稼がなければ』と具体的な考えをするようになりました」と言って笑った。

朴技師が付け加えた。「我が家の状況を映画で撮るとしたら、どのように編集するか想像してみました。主人は走り回り、子どもたちは『パパ、頑張ってね』と歌うのを交差編集で入れたりして。まあ、映画がヒットしようがしまいが、我々が映画を作りながらこんなに幸せですから十分です」。

10年ともに暮らした夫婦から「具体的な幸せ」の香りがした。



yourcat@donga.com