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パンソリに熱中する子どもたち

Posted April. 20, 2007 08:10,   

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●「韓国の伝統がいい」

韓国の伝統衣装がよく似合うダフン君は、8歳の時から国楽の教育を受けた。康翎(カンリョン)タルチュム(仮面舞)とチャング(鼓の一種)を習い、最近は土曜日ごとに西道ソリ(平安道や黄海道など関西地方の雑歌などの歌)を学ぶ。中学1年生のダフン君の姉のウンジさんも、6年間国楽を学んでいる。

「お姉ちゃんが先に国楽を習って僕は後で習ったので、もっと上手くなりたいと思ったんだ。チャングはうまいけど、短しょうは少しだけできる。それでも学校では、一番上手いと言われるんだ」

ちなみに、ダフン君の康翎タルチュムはすでにプロ級だ。実際、よく大人と公演舞台に立っている。

ダフン君も、他の子どもたちと同じようにまず、西洋音楽に接していた。しかしダフン君の違っていた点は、その後で学んだ国楽のほうに、ずっと興味を感じているということだ。

「国楽と西洋音楽は違う。国楽では韓国の趣と余裕が感じられる。最近は、西道ソリが本当に好きだ。西道ソリは早くて高くて軽快で、全羅道(チョンラド)地方のソリとも違うんだ」

●子どもの国楽教育はどのように?

専門家たちは、幼児期の国楽教育では、韓国の伝統を自然に受け入れるようにするのが何よりも重要だと強調する。

5、6歳時には遊びの形式でリズムと呼吸、言葉と調子、国楽童謡などを身につけさせるのがいい。この時期が過ぎれば、軽い小鼓やチャングなどの楽器を扱わせる。

明知(ミョンジ)大学社会教育院のチョン・ソンジャ(国楽科)教授は、「幼い頃に接する国楽は、楽器や踊り、パンソリなどを別個に学ばせるのではなく『総合芸術形態』で一度に習得するようにしていくのが望ましい。しっかりと国楽教育を受ければ、いくつかの楽器に重点を置く西洋音楽教育に比べて、情緒的音楽的な効果が大きい」と話した。

初期に接する国楽器は、小鼓やチャング、太鼓などの打楽器がいい。打楽器はリズム感を身につけるのに適している。特に両手を使うチャングは、頭脳のバランスの取れた発達にも役立つと説明する。

檀国(タングク)大学の徐漢範(ソ・ハンボム、国楽科)教授は、「国楽の天才でなくても、小学生の時にパンソリを学べば声量が大きくなり、不正確な発音を矯正することができる。何よりも自分のルーツを確認しながら自信を得ることもできる」と話した。

●「子どもが変わった」

ダフン君が学んできたのは、単に国楽だけではないと母親のク・ヨンジャ(45)さんは言う。「以前は、食事中にも走り回っていたんです。一口食べては消えていました。しかし今は、一所に長く座って、よくがまんしています」

子どもは国楽と出会って人間的にも成長していた。クさんは、「子どもが落ち着き、自信も持つようになりました。ある時は、もう大人になったかと思うほど礼儀も正しくなりました」と話す。

生活習慣も大きく変わった。テレビを見たりコンピューターゲームをしたりする時間が大きく減った代わりに、姉と楽器を演奏する時間が増えた。好きなゲームは、携帯用の保存装置に保存して、時間がある時に楽しむ。

●パンソリは途絶えない

ダフン君のパンソリの先生である朴氏は、「西道ソリの世界にはまった人だ」と言われている。

1983年に軍部隊の炊事兵だった彼は、部隊で使うもちを買いにソウルに出て、蚕室(チャムシル)の石村(ソクチョン)湖で、運命的なパンソリを聞いた。平壌(ピョンヤン)券番(妓生たちの組合)の最後の妓生世代で、人間国宝だった金ジョンヨン先生(1987年死亡)の愁心歌だった。

「背が150センチにもならないお婆さんがパンソリを歌っているのに、まるでカミナリにあたったかのようでした。そこで私の運命は決まりました」

翌年除隊した朴氏は、病魔に侵されていた金先生を訪れてパンソリを学び、師匠の末年を看取った。家礼ホンには恩師の遺品が展示された「錦鴻館(クムホングァン、金ジョンヨン先生の妓名から取った名称)」と、「ペベンイ・グッ(黄海道一帯に伝わる民俗劇の一つ)」で有名な李殷官(イ・ウングァン、91)先生のための部屋がある。

「パンソリですか。運命でしたね。金先生が亡くなって今年で20年になります。もし私がまたあの時に戻ったとしても、またあのパンソリを求めることでしょう」

彼の幼い弟子がペベンイ・グッの一部を歌った。

「西山に落ちる太陽は、明日の朝になれば再び昇るけれど、黄泉路がどれほど遠いか一度行けば、二度と戻ってくることはできない〜」

西道ソリ特有の高音が、子どもの声に混じって狭い空間に響く。十一歳のダフン君がペベンイの「恨」を知っているかどうかはわからない。しかし、韓国のパンソリはそうやって伝えられている。



dunanworld@donga.com