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「ありのまま愛する…いい家族の物語ですよ」

「ありのまま愛する…いい家族の物語ですよ」

Posted March. 01, 2007 08:00,   

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「前作に比べて、負担はありません。どうせ映画は生まれた瞬間から、自分の力で走るものですから」

デビュー作の「マラソン」で500万の興行記録を立てた監督らしい答弁だ。大きな映画の演出オファー後を絶たなかったはずだが、チョン・ユンチョル監督が選択した作品は、製作費22億ウォンの、小さくても充実した映画「いいんじゃないの」(1日封切り、15歳以上)だった。

互いに無関心に、平凡に暮らすシムさん家族の物語。「頭を下げた」肝っ玉の小さい父親(チョン・ホジン)と口の悪い母親(ムン・ヒギョン)、「宇宙一悪い女」のガールフレンドに悩む息子(ユ・アイン)と「どうして愛してもいないのに同じ家で暮らしているのかわからないと思っている」娘(ファン・ボラ)、ここにオールドミスの浪人のような、時代劇作家のおば(金ヘス)が一緒に暮らしている。砂のようにばらばらだったこの家族に、ある日、意外な危機が訪れる。

映画は5人の独特なキャラクターがストーリーを作るキャラクタードラマで、シニカルでありながら的を射た台詞が印象的だ。心因性勃起不能の父親が寝床でしきりに触ってくる母親に投げかける言葉、「なあ、あせらずに暮らそうよ」というのがこの映画のテーマ。

「お互いにあまり『深入りしないようにしましょう』ということです。絶えず理解し、理解させようとし、理解できなければ干渉し、そんな中で対立ばかりが大きくなりますから。人がほかの人を理解できるんでしょうかね。自分自身も理解しがたいのに」

そして映画には、「月の裏面」が重要なシンボルとして登場する。月は自転しながら地球の周りを公転するが、自転と公転の周期が同じであるため、地球から月の裏面は見えない。地球と月は一番近いが、その裏面を知らない存在。家族も同じだ。まあ、確かにいい話だが、本人はそうやって暮らしているのか聞いてみた。チョン監督は、にっこり笑って、首を横に振った。「この映画を撮りながら、そうなるように努力はしてみました」。

シムさん家族は、「恥ずかしくて死にそうな」出来事が起きても、過度に興奮したり言い争ったりしない。人はよく「どうして私の人生にこんなことが?」とため息をつくが、もともと世の中そういうもんだと、チョン監督は思っている。

前作で観客の感情を監督の計算どおり正確に誘導するきめ細かな演出で「テクニシャン」と呼ばれたチョン監督は、もともとは科学者になりたかった少年だった。高校3年生の時、いきなり映画監督になろうと思って、漢陽(ハンヤン)大学の演劇映画科に進学したが、父親には認めてもらえなかった。

「父とはそのための葛藤もありましたが、父が死んだ今は、『そうだ。父がそう思うのも無理はない』と認めます。皆、お互いの違いを認めるこのような態度、『いいんじゃないの』」



yourcat@donga.com