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彼のカメラの中で花が咲いた

Posted February. 26, 2007 07:23,   

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『花の神秘』という本(写真集)が出たが、一見しただけ目が飛び出るほどだ。韓国の野生花という珍しいテーマに、大型(縦29.7センチ、横42センチ)の装噤B3巻が1セットだが、全体の重さだけでも14キロだ。それに鮮明な印刷や滑らかな英語の翻訳、そして付録のDVDなど。著者と出版社(韓国モンテソリ)の情熱やこだわりが本を包んでいる。価格は1セット当たり45万ウォン。

外観よりも驚かされることは、すぐにも動き出しそうな花の生態を盛り込んでいる写真だ。その作品を見ていると、「花」が声をかけてきて、ほのかな香りが漂うような錯覚に陥る。

著者は写真作家の金ジョンミョン氏(61)。韓国野生花の専門作家で、国内より海外でのほうが有名だ。韓国の写真作家らは海外でのほうが認められる場合が多いが、彼も外国で写真1枚で100万ウォン以上を受け取っている。写真の著作権や印税、講義謝礼金などをあわせると、年間収入が3億ウォンを超える。

彼は韓国の野生花写真を25年あまり撮りつづけてきた。1995年以降、毎年テーマごとに野生花の写真集兼カレンダーを出し、13冊の上る。同写真集は「花の写真の指針書」といわれている。

今回出した本は、その写真の一部や未発表の「作品」を集大成したものだ。翻訳は米国で弁護士をやっている長女のシネ氏(35)と米国人の婿が担当した。

「7年前、次女のナリ(32)が金庫に保管しておいたフィルムを偶然目にして聞くので、『私が死んだら墓に入れてくれ』と、そのまましまっておくように言いました。真の価値は見る目のある人にしかわからないでしょう。ところが、その子が本として出すべきだと知人に言ったのが広まり、出版社の代表から頼まれました」

『花の神秘』は植物図鑑でも、写真集でもない。植物の生態を生々しく記録した写真ドキュメンタリーだ。金氏は、道を歩いて新しい花を見かけると、その場でビニールでおおい、何日も見守りながら、花に声をかける。20日以上も同じ場所で見守ったことすらある。そのうち、その花が笑いはじめ、心を開く。

彼が撮った写真が、なかなか目にすることのできない花の表情を盛り込んでいる理由がそれだ。山のアジサイやマタタビ、岩菊が受粉を前後して変化する瞬間、カラムラサキツツジとツツジの違い、冬の間ずっと凍っていた土を自分の「体温」で暖め、芽を出す福寿草など。彼は植物学者よりもさらに花に詳しい職人として名をはせ、彼自身も花の学名や生態を記録するのに、些細なミスも許そうとしない。

本の製作費用だけでも10億ウォン余りに上る。海外で出版しようという提案も受けたが、韓国モンテソリの金錫圭(キム・ソキュ)代表は、「とんでもない。このような本は絶対韓国で出すべきだ。出したい時はいつでも連絡してくれ」といいながら、巨額の前金を送った。

驚くべきことに、この本は2ヶ月ぐらいで1500セット余りが売れた。高価なうえ重くて、なかなか売れないと思っていたが、「我々にも外国に誇れる本が出た」といって「ファン・レター」を送ってくれた読者もいた。米国や英国からも注文があって協議中だ。

金氏が韓国野生花に夢中になった理由は、「韓国の趣」を見つけたいという願望のためだった。一時はクッ(巫女が供物を備えて歌舞を演じて神に祈り願う儀式)写真専門作家の故金スナム氏と共に、韓国の伝統を撮るため、全国を歩き回ったこともある。20年余り前からは独島(ドクト:日本名「竹島」)の生態変化も撮りつづけてきた。

最近、金氏は植物写真作家協会の会員たちと韓国植物の生態を盛り込んだ観察日記を製作している。これもまた、海外から先に提案が入ったが、出来上がったら本と動画で披露する計画だ。



heo@donga.com