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たった1ドルのワクチンが、数百万の生命には「希望」に

たった1ドルのワクチンが、数百万の生命には「希望」に

Posted February. 16, 2007 07:21,   

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●低開発国と途上国にワクチン普及

今年で設立10年を迎えるIVI(国際ワクチン研究所)は、伝染病予防のワクチンを研究開発してアフリカとアジア、南米の20あまりの低開発国と途上国に普及している唯一の国際機関だ。本部はソウル大学に置かれている。そこでは、2000年以降、40万人がIVIのワクチン臨床試験に参加している。

コルカタで臨床試験が行われている食べるコレラ・ワクチンは、スウェーデンから技術移転を受けたベトナム会社のビナイオテクが生産する。1人が2回接種するのに値段は約1ドルだ。IVIは、このワクチンの生産技術をインドとインドネシアにも移転している最中だ。

低開発国の子どもがかかりやすい病気というとすぐに、後天性兔疫欠乏症(エイズ)やマラリア、結核などを思い浮かべる。しかし、ジョーン・クレマンスIVI事務総長(写真)は、「アフリカでは毎年200万人の子どもが、はかなくも下痢の病で死んでいる」と話した。

下痢の主要原因はコレラ、ロタウィルス感染症など、細菌やウイルスが起こす感染病だ。下痢は、ひどくなると全身で急速な脱水症状を起こし、結局死亡にまで至る。

●先進国と後進国とで薬效に差

ワクチンが開発されたからといって、すぐに接種できるわけではない。接種地域の人口と衛生施設、健康状態、発病頻度などを正確に把握して、接種の回数や普及量を決めなければならない。低開発国でこの手の調査を行うのもIVIの役目だ。

IVIが昨年、インドネシアのバリ島を調査した結果、年間8.2人の子どもが日本脳炎にかかっていることが明らかになった。

クレマンス事務総長は、「ワクチンは先進国と低開発国で效能に差があることもある。韓国の子どもは小児麻痺予防ワクチンを3回だけ受ければ十分だが、低開発国では8回程度接種しなければならない場合もある」と話した。

低開発国の子どもの腸には細菌やウィルスが多く、ワクチンの効能が落ちるという。栄養状態も影響を与える。例えば、体中にビタミンや亜鉛(Zn)成分が少ないと、ワクチンが免疫力を十分に発揮しにくくなるとされている。寄生虫もワクチンの作用を妨げる要因のひとつだ。

IVIは最近、ワクチンの「集団免疫」効果を集中的に研究している。特定地域の人口の一部がワクチン接種を受けただけでも、全体の発病が抑制されるという仮説だ。

IVIは、1985年にバングラデシュの6423の地域で12万4035人を対象に実施した食べるコレラ・ワクチンの臨床実験データを、最近、再度分析した。ワクチン接種率が高い地域ほど接種者と非接種者のいずれもコレラ感染例が少なかった。ワクチンがコレラ菌の伝播を防ぐため、非接種者も「間接的に」影響を受けるのだ。

●韓国の進んだ技術力で貢献を

IVI本部では、このごろBSL3+級の先端施設の工事が盛んだ。BSL3+は、米国と欧州のバイオ安全基準の3級を上回るレベルだ。危ない病原体を取り扱う研究施設が取り揃えなければならない必須條件だ。

IVIのソン・マンギ博士は、「今年半ばに完成すれば鳥インフルエンザ・ワクチンの開発に拍車をかける計画だ。最近、重症急性呼吸器症侯群(サーズ)ワクチンも動物実験を終えた」と話した。

IVIのクォン・ミナ博士チームは、赤痢実験マウスのモデルを開発して15日付の「兔疫学ジャーナル」に発表した。赤痢菌は主に人を中心に感染する菌のため適切な実験動物がいなく、研究に困難が多かった。

クレマンス事務総長は、「韓国のワクチン研究はアジアではトップレベルだ」と言い、「これからは、技術力を低開発国に施すべきだ」と強調した。事務総長は最近「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」と世界保健機構(WHO)が主導した世界ワクチン免疫連合(GAVI)理事に選任された。ノルウェーは、今後15年にわたって8億9200万ドル、オランダは5年間8700万ドルをGAVIに寄付する計画だ。



sohyung@donga.com