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尹大寧氏の新作、「人生の真ん中で、見知らぬ『女』に会った」

尹大寧氏の新作、「人生の真ん中で、見知らぬ『女』に会った」

Posted January. 26, 2007 06:27,   

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初めて会う男女がまるでだいぶ前から知っているように対話を交わし、当たり前の手順のようにお互いに嵌る。尹大寧(ユン・デニョン、45)氏の小説はそうだった。「見知らぬ女性と男性の話し手がふと出会う場面」、こうした男女関係をそのように魅惑的に描き出す作家も珍しいだろう。

尹氏が新しい小説集『つばめを飼う』(創批)を出した。本に載せられた中・短編8本の大部分が文芸紙の発表当時、好評を博した作品だ。24日会った尹氏は「作家の人生の中で真ん中を貫いているという感じがする」と話した。

——「尹大寧氏の小説」と言えば、非現実的でありながら妙に恋愛感情を思わせる女性というイメージが浮び上がるが、今回はあまりないですね。

「昨年、母親が病気で苦しんでいたんです。母親のそばにいてみたら女の一生は何かについて考えてみるようになりました。結婚して子どもを生んで家族の面倒を見て、年をとっていく…。漠然とした女性のイメージが肌で感じられたというか」(『つばめを飼う』の母親は季節ごとに家出をしては帰ってくることを繰り返しながら年をとり、「テンジャ」の叔母さんは、初恋の傷を抱いたまま曲折の多い人生を生きていく)

——前の作品には貧しい生活とは関係なくみえる「か弱い女性」たちが大部分だが、今回は女性たちが生活をやりくりしていきますね。

「数年前から人物を具体的に描きたいという気になりました。そのように読者との距離を縮めたかったし。前に出た多くの本は女性読者たちからしばしば『共感できない』という話を聞いたが、最近の作品は女性読者の反応が良いです。女性について分かるのにかなり長年の時間がかかるようですね。私だけではなく、すべての男性が…(笑い)」

——また、一方で疲れる人生でありながらも、寛大に受け入れる省察を見つけます。

「『テンジャ』の中の病気にかかった叔母さんは、実際に叔母の死のことを聞いて書いた作品です。大きな衝撃でした。死に対する朧な観念が肉化したと言いましょうか。人生と人間についてもっと広く考えてみるようになりました」

——登壇17年間多くの作品を出しているが、尹大寧と言えば初の小説集『アユ釣り通信』を思い浮かべる人が多いです。

「それで、率直に言って損をしている時が多いという感じもします。『アユ釣り通信』を見れば、私自らも感心したりしますが(笑い)、文章が荒くて構造も滑らかでない部分も目立っているし…。作品集のイメージが強かったためか今までそのイメージが続きますね。一方では、こうも考えます。あの時は「存在の始原への回帰」という評価もありましたが、私がこれまで進展したものの、結局その主題意識から脱することができなかったなあという考え…。それは結局、私が追求してきた哲学的実現という考えなんですね」

——今回の作品でも、相変らず登場する人々は旅に出ますね。その道程で見知らぬ人々に会って…。

「ロードロマン!私はこれがどうしてこんなに好きなのかは分かりません。ただ、旅に出るというのは結局生きていくことであり、死を準備していくことだという気がします。私は今どんな道程に立っているかと言えば、慣れた過去と別れて新しい模索をする地点へ来ているのです。そう、人生の真ん中を通り過ぎているという感じ」



kimjy@donga.com