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「一番近いがゆえに…」

Posted December. 30, 2006 07:17,   

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また、そうだった。

一年間、数えきれないほど傷つき、自分でも知らないうちに人を傷つけていた。そして、彼らの多くは、自分にもっとも近い人々だった。

今はその傷を癒し、新しい時を迎える準備をする時だ。「ヒーリング・ムービー」を見ながら、一年を締め括るのはどうか。

映画『愛してる、マルスンさん』は、1979年を舞台背景に、化粧品のセールスをする母(ムン・ソリ)と妹と暮らす中学校1年生のクァンホ(イ・ジェウン)の成長ドラマだ。

「お母さんは、そんなことも知らないのか」、「出ていけというのか」が母親に言う言葉の大半である思春期の少年クァンホ。彼と母、そしてその周囲の話が、その時は暗いと思われたかもしれないが、今見ればおぼろげながら見える温かい風景の中で展開される。

映画のクライマックス、でクァンホは一人で部屋で横になり、死んでしまった母親を思い出して泣く。クァンホの夢の中で、すべての登場人物が集まって、ひとしきり踊りを踊った後、映画はクァンホの成長を意味するシーンで終わる。過ぎ去った時代と母親の姿…。静かに振り返れば、涙を流すかもしれない。

一方、9月に封切られた『ラジオスター』は、最も近い人との関係について考えさせる。往年の大歌手ツェゴン(パク・チュンフン)とマネージャー(アン・ソンギ)の美しい友情ストーリーだ。「兄貴、タバコ!」、「兄貴、火!」と言っていた高慢なツェゴンは、マネージャーが去った後、ラジオ放送で心の深くから溢れる涙を流す。自分が輝くことができたのは、いつもそばで照らしてくれた人がいたからだということを悟ったからだ。

また、『家族の誕生』は多くの賞賛を受けた作品が、それほど見た人はあまりいない映画だ。家族愛を強調しはしないが、家族のようではない人々を家族という名でつなげる。母親を憎んでいたソンギョン(コン・ヒョジン)は、母親の死後、母親と撮った写真を手に取って泣く。部屋の中のすべての物が、肩をふるわせながら泣くソンギョンの周りで、フワッと浮かぶ。クライマックスでは、祭りのようにスクリーンいっぱいに花火があがり、一滴の血のつながりもない登場人物たちが、美しく一つになる。

韓国映像応用研究所が、昨年11月から1年間の上映作を対象に選んだ今年のヒーリング・ムービーだ。同研究所は、映画で心理治療するシネマセラピー専門機関。3つの映画で刺激的な事件はひとつもない。一貫して穏やかだ。退屈に感じられることもあり、韓国では「大ヒット」はしないような映画ばかりだ。しかし、温かい作品だ。傷をいやし、「それでも愛し、一生懸命生きなければならない」と言って慰めてくれる。

今年が終わるまでもう何時間も残っていない。今年が過ぎ去っていく前にDVDで映画を見て、「ごめん、愛している」と言おう。涙を流してもいい。今年の傷は消え、新しい時が訪れる。



yourcat@donga.com