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「体質が変わったようだ」 小説集『実にいい日』の成碩済氏

「体質が変わったようだ」 小説集『実にいい日』の成碩済氏

Posted December. 15, 2006 07:15,   

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「成碩済の小説」を期待したなら、おおむね期待はずれだ。中・短編7編が入った新しい小説集『実にいい日』(文学トンネ)。話術と機転はそのままだが、色彩と重みが違う。

大家に保証金を踏み倒され、家を失った男(『少し離れて咲いている』)、財産のため弟や息子と激しく争う男(『何でもなかった』)…。彼の小説で、人生はもはや愉快でない。暗く、凄絶だ。

彼はなぜ変わったのか。14日、作家・成碩済(ソン・ソクチェ、46)氏に聞いた。

——タイトルは『実にいい日』ですが、小説の中の日々は、いいというよりも憂鬱です。短編『明るい一日のあるひととき』を見ても、主人公が久しぶりに故郷へ帰れば、切なさの中にも笑いがある何かがなければならないと思うが、一面に胸の痛む記憶だけが飛び出す…。

「タイトルは、その断片から取るものです。おばあさんが、『ああ、今日の天気は実にいいね』と言い、喫茶店の主人が『天気が本当にいいね』と言って。それは天気を言うこともできるが、生きていく日々を意味することもできる。私が詩を書いているためか(彼は詩人として出発した)、タイトルも様々に解釈されるのがいい。実は、最近2年間、生きる姿を書いてみようと考えたんです。いいことのように見えても、暗くて対面したくない部分がかなりあります。それを書いてみようと」

——「成碩済の小説」と言えば「抱腹絶倒の笑い+おぼろげなペーソス」が特徴ですが。新しい小説集は笑いも消え、文章も短くなり、内容も重い。変身したのですか。

「(生に)直面する副作用と言いましょうか。キムチで言えば浅漬けのように、材料を生のままぶつ切りにして、味つけだけして出したようなものです。しかし、書いてみると、小説が思ったより暗くて、私も意外でした。体質が変わったようです」

——年を取ったからでしょうか。

「う〜ん、そういえば小説の主人公が、たいてい私のように4O代の妻子もちです。家庭もあるが、何か苦しく、それでも生まれつきの楽天的な性格は、どうにもできない人間とでも言いますか。以前は、視点や話し手を多様に変えてみようとしましたが、最近は、よく会う友人や私自身、周囲の人々の生活を加減なく見せようと考えています。そうしてみると、胸が痛みます。主人公と私が同一視される場合が多くて。これも小説を書く者が払わなければならない対価でしょう」

——ウェルビーイングの実践家が一瞬にして交通事故に遭い(『高貴な運命』)、マンション問題で弟たちと競争する家長が、八つ当たりするように家族と争って(『何でもなかった』)。以前であれば、このような馬鹿げた状況を明るく軽快に扱ったと思いますが…。

「『高貴な運命』は、198O年代に新聞で『健康伝道師に雷が落ちた』という記事を読んで、詩に書こうとメモしていたのが小説になったケースで、『何でもなかった』は、マンション熱のため大騒ぎなので、十分に起こり得る状況だと考えたんです。貪欲、利己主義、家族崩壊のような問題をそのまま表したものです。それは、言葉のあやでごまかして無視したり逃避したりできない問題です。以前は、私の小説の主人公がよく死んだりしましたが、今回は、そうでもありません(笑)。本当に悲劇的というのはそういうものです。ところで、私が最近、少し変わったようです。初の小説集、『そこには思いがけない人が暮らす』で、『行ったり来たりするのが人生』という『名言』を書きましたが、その言葉が当たっているようです。私は悲劇一辺倒で書き続けるスタイルではありません。これからは、ちょっと重くても余韻が長く残る、希望を語る作品を書くんじゃないでしょうか」

——作品は変わったと言うが、相変わらずなのは童顔だということですね。

「毎晩、共同墓地に行って、肝を食べたんです(笑)。作家たちの印象はあまり変わりません。私だけではなくて。ハハ」



kimjy@donga.com