「ファンタジーより『ペパーミント・キャンディ』『グリーンフィッシュ』のような人間味のある映画が好きです。だからといって、そんな映画にばかり出演するのは、正解ではないと思います」(チョン・ウソン)
「『機械のようだ』『人間味がない』という言葉はもういっぱいいっぱいです。実は私、おっちょこちょいなんです。私は、『サイオン』のテレビ・コマーシャルや『中天』の女主人公『ソファ』がぴったりです。天真爛漫で世間知らずというか」(金テヒ)
2人が俳優でなく異性として互いに対して持つ「ファンタジー」はどうか。この質問に、金テヒは手を振って否定した。
「いくら格好よくても『同じ人間だ』という気持ちで、チョン・ウソンさんに対しました。中国で、同じホテルに泊まって、食事も一緒にとって、寝起き姿も互いに見て…。でも思ったより優しいんですよ。『計算せずに演技しろ』と演技指導もしてくれて…」(金)
中天は、死んだ魂が回生を待って、49日間とどまる所。ここを守る天人ソファ(金テヒ)と武士イ・グァク(チョン・ウソン)の愛を扱った映画『中天』は、約100億ウォンの制作費をかけて、すべて中国で撮影された。
初の映画主演を務めた金テヒは、「演技力が足りないと言われないように必死になるより、前向きに考えるタイプ」と話した。
上映を控え、チョン・ウソンも緊張しているようだ。『私の頭の中の消しゴム』『サッド・ムービー』『デイジ』などの最近の作品で、彼は水彩画のような恋愛物の主演俳優に心に決めて臨んだようだ。
「私も30代なので、年相応の演技をしなければだめです。最近、背が高くてハンサムな後輩がたくさん登場しましたが、まったく気にしません。ハンサムな後輩が多いからといって、『オレはもうハンサムをやめる』とも言えないじゃないですか。これからは、もっと余裕を持ちたいです」
2人は、「肯定的に生きているので、劣等感や悲哀のようなものがよくわからない」と言って、笑った。本当か?最近、スキャンダルで騒がれた金テヒは、そうでもなさそうだった。彼女は、「中国にいてたまに韓国に帰ってそんな話を聞くと、『知らない。また中国に行く』と言ってまた忘れます」と笑った。
「子どもの頃、ズボンをはいて、男の子と鼻血を出しながら遊びました。でも、劣等感がありました。男の子に人気のあった幼稚園の友達に勝ちたくて、家に帰る時もいつも走って帰ったんです。その子に勝ちたくて」
するとチョン・ウソンは、「幼稚園の時から劣等感を感じてたの。すごいな」と言って笑った。いつのまにか『中天』から地上に舞い降りた彼らは、席を立ちながら、記者に「ファンタジー」のような一言を述べた。
「撮影中、『中天』にいたので、現世が好きになりました。映画は成功しなければいけませんが、石になっても現世にいるほうがいい」
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