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魂に響くオーボエの「天上のメロディ」

Posted December. 02, 2006 07:29,   

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小説家ヘルマン・ヘッセは居住地を移る度に、庭園を作った。庭園は彼にとって、文明から離れ魂の平安を守る場所だった。ある日、古びた麦わら帽子をかぶったヘッセは、枯れ葉を集めてたき火をした。パチパチと飛び散る火の音に、彼はふと音楽を感じた。「そのリズムの中で、疲れを知らぬ記憶は再び音楽を作りだし、タイトルも作曲家も分からない曲に、私は一緒に口ずさむ。すると突然思い出す名前、モーツァルトだ。彼のオーボエ四重奏曲…」(ヘルマン・ヘッセ『庭園で過ごした時間』)

ヘッセは落ち葉が焼ける匂いをかぎ、パチパチと鳴る音を聞きながら「錬金術師の遊戯」を瞑想し、「モーツァルのトオーボエ四重奏」を思い浮かべた。ヘッセでなくても、冷たい風が肌をさす季節には、オーボエの温かく牧歌的な音色が懐かしくなる。

映画『ミッション』を思い出す時、耳元から離れないのは、ガブリエル神父がイグアスの滝の上で原住民たちに聞かせたオーボエのメロディだ。映画音楽の巨匠、エンリオ・モリコーネが作曲した「ガブリエルのオーボエ」は、まるで南米のジャングルの中を探険するかのように波打つ神秘的な音色で、原住民を魅了する。

チャイコフスキーの「白鳥の湖」、ラベルの「ボレロ」、ストラビンスキーの「春の祭典」などの舞踊曲で、オーボエは切なげだが躍動感あふれる色彩を吹き出す。また、オペラでソプラノのアリアを支えるメロディは、主にオーボエが担当する。ブラームスのダブル・コンチェルト、チャイコフスキー交響曲四番などの多くのオーケストラ曲で、オーボエは独奏楽器として光を放つ。そのため、演奏を終えた指揮者がオーボエ奏者を立たせる場合がよく見られる。

今秋は、世界的なオーケストラの来韓公演が特に多かった。公演会場で、オーボエ奏者のテクニックや音色を比べて鑑賞してみることは、大変興味深い、オーケストラの公演が始まる前、指揮者が音程を調整する時「A(ラ)」音を吹く楽器がオーボエだ。

良い指揮者は、3人の演奏者を必ず連れていると言う。指揮者、ティンパニスト、そしてオーボニストだ。そのうち指揮者の向かい側に座るオーボエは、全体オーケストラの音程をつかみ、サウンドカラーを牛耳る「センター・フォールド」と言える。

最近、床に就く前に、ハンスイェルク・シェレンベルガー(前ベルリン・フィルのオーボエ奏者)氏が演奏するサン・サーンスとプーランクのソナタのアルバム(DENON)を聞く。バッハ、ビバルディ、ハイドン、マルチェロ、テレマンなど、バロック時代の高音楽のオーボエ・ソナタも、夜を飾るのにいい曲だ。何より、生まれて8ヵ月の赤ん坊がすやすやと眠るのを見て、夢見るようなオーボエの音がさらに気に入るようになった。



raphy@donga.com