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私を生かせてくれたあなた、愛してる—映画「ワールド・トレード・センター」

私を生かせてくれたあなた、愛してる—映画「ワールド・トレード・センター」

Posted October. 13, 2006 06:52,   

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「愛しているよ。何かとてつもないことが起こったようだ。しかし…、私は生きられそうにない。子どもたちを頼む…」。(9・11テロ当時、ワールド・トレード・センターに務めていたスチュアート・メルチャー氏から妻への電話)

「ママ!この建物が火に包まれた。壁から煙が入ってくる。息ができない。ママ、愛してる。さようなら…」。(ベロニク・バワー氏から母への電話)

2001年9月11日、米ニューヨークの象徴だったツイン・ビル、ワールド・トレード・センター(WTC)が2機の飛行機によって崩れ落ちた。映画のようなこの事件に接した世界の人々を涙ぐませたのは、その中で犠牲になった普通の人々だった。死の恐怖が時々刻々と迫るその瞬間、彼らは家族を思った。そして、彼らのために命をかけて現場にとび込んだ救助隊員たちがいた。

5年後、『プラトーン』、『JFK』などで政治的メッセージを伝えてきた巨匠オリバー・ストーン監督が選択したものは、政治ではなく家族愛とヒューマニティだ。12日上映の映画『ワールド・トレード・センター』は、「あの日」を経験した普通の人々の実話をもとにした。

ニューヨーク港湾局警察官のジョン・マクローリン(ニコラス・ケイジ)は、いつものようにニューヨークのメイン・ストリートの巡察で一日を始めた。しかし、飛行機の影とともに「ドカン」という轟音が鳴り、すぐにWTCに出動せよという命令が下る。ジョンを含め4人が建物の中に入るが、建物が崩れ落ち、ジョンとウィル・ヒメノ(マイケル・ペーニャ)の2人だけが、建物の瓦礫の下敷きになりながらも、なんとか生き残る。事故の知らせを聞いた家族たちは絶叫し、ジョンとウィルは死の境界で耐え抜く。

9・11テロを素材にしたと言えば、多くの人が災害映画の巨大なスペクタクルを予想するだろう。そのように期待して見れば、多少は退屈するかもしれない。視線を捕らえるほどのダイナミックなスペクタクルはない。映画は、大きな緊張感もなく穏やかに流れる。むしろ記憶に残るのは、闇の中で身動きできないニコラス・ケイジとマイケル・ペーニャの泥まみれ顔のクローズアップだ。最大限、事件現場をリアルに伝えることに力を注いでいる。韓国の観客たちは、サンプン百貨店の崩壊事故を思い浮かぶことだろう。時々刻々、状況を知らせる全世界のニュースを挿入し、まるでドキュメンタリーのように感じられる。

WTCは、キリスト教や家族主義、愛国主義などの米国的な価値の大切さを伝えようと努力する。死が迫ると主人公たちは祈祷文を覚え、イエスの幻想を見たりする。結局は生き残り、妻に会った瞬間、ニコラス・ケイジが言ったことは、「あなたが私を生かせた(You kept me alive)」だ。ある海兵は、「危機に直面した国家のために行かなければならないのが、神が与えた使命だ」と言って、現場にとび込む。真の「米国映画」だ。

普通の人々の勇気と愛は、わざとらしくなく感動的だ。しかし、映画のクライマックスでの「9・11は、人間の両面を見せてくれた。恐ろしい悪魔性とその反対に隠されている善良さを」というセリフは、米国が善というメッセージのように感じられ、逆にイラク戦の犠牲も想起させる。12才以上閲覧可能。



yourcat@donga.com