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「小さいからと侮ったら、痛い思いをするぞ!」

「小さいからと侮ったら、痛い思いをするぞ!」

Posted September. 30, 2006 04:19,   

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ハエほどの大きさのミイデラゴミムシを道端で見つけても、絶対に手で捕まえない方がいい。怪我をするからだ。誰かに触れられるとミイデラゴミムシは100℃を超える液体爆弾を瞬時に発射する。熱い毒物を腹の中に格納していながら、この虫が破裂しない理由は何だろうか。驚くべき身体構造のおかげだ。

著者が青酸カリを噴出するヤスデを解剖した結果、腹の中に、二つの袋があり、両方の内容物の混合によって青酸カリができるという仕組みになっていた。昆虫が自らを守り、生き残るための進化の神秘だ。

この本を読み進めると、「昆虫に比べれば、空の星も極簡単な構造体にすぎない」とした本の中のフレーズに頷かずにはいられない。その小さな固体の中にこのように大きな宇宙が潜んでいるとは!。

著名な社会生物学者のエドワード・ウィルソン氏は、米コーネル大学の名誉教授であり、化学生態学分野の先駆けである著者を「節足動物分野の点描画家」と呼んだ。その表現通り、著者は最新の顕微鏡と化学分析装置などを利用して、まるで点描画でも描くように、昆虫の行動パターン、分子レベルの進化の姿を逐一に確認・総合して具体像として紹介する。

見慣れない昆虫の学名、化学物質名などが次々出てくるが、内容はすらすら読める。写真や図が多いため、難しい実験の説明も分かりやすい。初頭部分の「不慣れ」さえ克服すれば、一際大きい「発見の楽しさ」を与えてくれる本である。

自らを守るため、昆虫が開発する「戦略」は化学物質だけではない。ヒメジャノメやアゲハチョウの幼虫は敵から自分を守るために、「目玉模様」を使う。蝶を食おうと近づいてきた鳥は、捕食者の目に似ている蝶の後羽の目玉模様を見て、あたふたと逃げてしまう。アゲハチョウの幼虫の目玉模様は瞳孔が三角形で、一度に全方向を見ている印象を与える珍しい模様だ。

それだけではない。カメノコハムシは蟻がいくら攻撃をかけてもその場からビクともしない。この虫の武器は、地面にぴったり張り付くことができるように分泌される脂と、6万本に達する足端の毛である。

著者がカメノコハムシの背中にろうで糸をつけておもりを垂らした結果、重量13.5ミリグラムのカメノコハムシは、2グラムのおもりにもバランスを保っていた。自分の重量の148倍もの重さは人に例えれば、体重70キロの人が13トン以上の重さに耐えるという計算になる。

昆虫の世界のみならず、著者自身もとても魅力的だ。著者は、液体爆弾を噴出するミイデラゴミムシの捕食者が受ける感覚が知りたくて、この虫を口に入れたことさえある。食虫植物であるモウセンゴケを餌食にする幼虫を「摘発」するため、著者が夜に「張り込み」をする状況を描写したくだりは、コミックな短編映画でも見ている気分を味わえる。自分が指揮を務めたアマチュアオーケストラの合言葉として「私たちは、私たちが出す音ほど悪くはない」を掲げていたという、著者の愉快な「副旋律」を聞くのも楽しい。

ユーモアに満ちた文章を追って珍しい昆虫の世界を探検していると、おのずと昆虫と人間の関係について考えるようになる。キマダラコガネグモはカマキリの毒牙に噛まれると、外科用のはさみですぱっと切るように、自分の足を切ってしまう。カマキリに捕まれたためではなく、毒が回るのを感じるためだ。著者が痛みを誘発する物質といわれるミツバチやスズメバチの毒をこの蜘蛛の足に注入する実験した時にも、キマダラコガネグモは何の未練もなく自分の足を切った。それができなかった蜘蛛は死んだ。

人間に痛みを与える物質は、昆虫にも痛みを与える。著者は「自ら自分の足を切ってしまう蜘蛛の生理的感受性は人間の感受性とは違うだろうが、まったく違うとも言い切れない」と語る。昆虫というだけでないがしろにしてはならない理由はまさにこのためだ。

原題は「For Love of Insects」(2003年)



susanna@donga.com