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ビオラは母の声のようで

Posted September. 27, 2006 07:09,   

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「多くの人が私のCDを聞いて電子メールをくれます。皆感動の涙を流したそうです。私はみんなに、私の音楽を聞いて幸せになってほしいものですが…」

ハンサムな容姿でこそないが、美しい微笑の持ち主、リチャード・ヨンジェ・オーニル(28)氏。舞台の上で体を左右に振りながら演奏する彼のビオラの音には、陽気な表情の裏に隠れた果てしない無念と悲しみが溶け込んでいる。

彼は第2集アルバム(ユニバーサルミュージック)を発売した。タイトルは「ラクリメ」(涙)。オーニルの母である李ポクスンさんは、韓国戦争の孤児で、養子縁組のため米国に渡った。幼いころ熱病にかかり、精神遅滞障害者となった彼女は未婚の母だった。オーニルは、米国人の母方の祖父母の手で育てられた。病院で働き、引退した後はテレビ修理屋を運営していた母方の祖父母は、細々とした生活ながらも54年の結婚生活の間に35人との養子縁組を行い、子供たちの面倒を見てきた。祖母は「あなたさえ頑張って勉強すれば、いつかはかならず天が助けてくれるだろう」と、オニールにいつも勇気を与えてくれた。

同アルバムは、ヨンジェ・オニールが亡くなった祖父母に捧げるプレゼントだ。そのためか。最後のアンコール曲に収録されている「島の家の赤ちゃん」(李フンリョル作曲)を聞いていると、不意に涙がこぼれそうになる。クラシックのギター伴奏を背景に切なく響くビオラの音を聞いていたら、記者も数年前にこの世を去った母の姿が思い浮かんだ。

「ビオラの音は母の声に似ているようです。家に帰ってきたように暖かく、心の安らぎを感じさせます。『島の家の赤ちゃん』は、今回のアルバムで一番好きな曲です。私のビオラは海辺の母と子供を描いているんですが、聞き手は各自自分の想像の中の母に出会うでしょう」

オーニルは「母が早く韓国を離れ、子供のころ『島の家の赤ちゃん』が聞けなかったのです。ところが、昨年この歌をはじめて聞いたとき、自分も知らずに口ずさむようになり、すぐ心を惹かれてしまいました」と振り返った。

今回のアルバムにはオフェンバフ(J.Offenbach)の「ジャクリーヌの涙」、ソルの「ラ・ロマネスカ」、ボッテジーニのー「エレジー」など、悲しみをテーマとするクラシックレパートリーでいっぱいだ。弦楽アンサンブルとクラシックギターが協奏した同CDに入っているショスターコヴィッチの「ワルツ・ジャズ2番」は、オーニルが自ら編曲した。

ビオリストとしては初めて、ジュリアード音楽院大学院過程に入学したオーニルは、01年からジュリアード音大出身者で構成された世宗(セジョン)ソロイスツで活動している。当時、ジュリアード音大のカン・ヒョ教授は、オーニルに「勇才(ヨンジェ)」という韓国名を作ってくれた。そして今年5月、オーニルは米国クラシック界の最高権威を誇る「エブリー・フィッシャー・キャリア・グラント」賞を受賞した。

「カン・ヒョ先生は、米国人だと思い込んでいた自分に母の国である韓国のことを考え直すようにしてくれました。エヴリー・フィッシャー賞で受け取った賞金は、私のビオラ(1699年製ジオバンニ・トノニ)を買うのに大助かりでした。何よりも私が認めてもらえたことがうれしいです」

今回のアルバム発売を記念し、彼は全国巡回公演を行う予定だ。10月11日午後8時、ソウル芸術の殿堂でのコンサートを皮切りに、10回の巡回公演を行う計画だ。さらに、10月27日慶尚南道(キョンサンナムド)の統営(トンヨン)国際音楽祭のオープニング舞台にも立つ。全国巡回公園の観覧料は2万〜5万ウォン。

02−751−9608



raphy@donga.com