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「原稿紙の中で私のパラダイスを見付けました」

「原稿紙の中で私のパラダイスを見付けました」

Posted August. 04, 2006 03:20,   

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「私たちが世の中で求めているパラダイスはたった一つだけだろうか」

今年「今日の作家賞」の受賞作であるクォン・ギテ氏(40・写真)の長編小説『パラダイスガーデン』(ミンウム社)は、この質問についての探索だ。

クォン氏の小説は「一度手にしたら読み続けることになり、結局最後まで読んだ」(評論家キム・ファヨン)という評価を受けた。それもそのはずなのが、この作品は「理想郷とは何か」という重い主題を取り上げたにもかかわらず、大衆的な骨組みを見せている。

導入部から犬を銃で殺す不気味な場面が出る。ソンニム建設の社長、ウォン・ジクスの継母が飼うペットだ。ウォン・ジクスは、継母が密かに設置した盗聴器を死んだ犬の首にぶら下げ、主人に返しなさいと指示する。継母の息子を追い出し、丈夫な「ソンニムパラダイス」を築くことが彼の夢だ。

この犬を返す任務を引き受けたのが、ソンニム建設の社員キム・ボモ。家の屋上に自分だけのパラダイスである庭園を構えて喜びと慰安を得る平凡な人だ。偶然に厄介な事に巻き込まれたのもあっけないが、弱り目に崇り目のように、犬を移している途中、家主に見られる。身近の脅威を感じたキム・ボモは友人のいる樹木園に逃げ込む。

金ボムオとウォン・ジクスの衝突を通じて、作家は「理想郷が衝突する現場としての韓国社会」を見せようとした。それぞれ違うパラダイスを夢見、無数にぶつかる今日の姿が描かれている。これに部下社員との不倫、やくざを動員した暴行など大衆的なコードが設置されている。流血が横行していることについて作家は「ハムレットとシェイクスピアの悲劇は流血劇だが、誰も通俗的だと言わない」とし「大衆性の強い文学を書きたい」と話した。

クォン氏は今年初め、満13年の東亜(トンア)日報の記者生活を終え、小説家になった。長年の現場経験を通じ、何より読者が重要だということを悟った。

「朴景利(パク・キョンリ)の『土地』、趙廷来(チョ・ジョンレ)の『太白山脈』、卜鉅一(ポク・コイル)の『悲鳴を捜して』のような傑作は、すべて読者が作ったものではないでしょうか。読者の感動を引き出すことのできる小説が良い作品です」

クォン氏は「高校時代から作家を夢見たが、40歳を迎えて、『一度しかない人生、私の夢を大事にしよう』という気持ちで作家の道を歩むことにした」と述べた。

文学記者で勤める時に会った小説家、崔仁浩(チェ・インホ)氏は「作家になれば、いつでも旅行ができ、愛読者もたくさんでき…」と誇ったが、実際に登壇の話を聞いてからは「死に物狂いの覚悟でないと、落ちこぼれになる」とアドバイスしてくれた。小説家の李𨯁子(イ・ギョンジャ)氏は「作家は批判だけでなく、賛辞からも自分自身を保護しなければならない」と助言した。

クォン氏は「(文学の世界が)青雲の夢を抱いて飛び込んだ作家らの共同墓地であることをよく知っている」と話した。「これからスタート」というクォン氏は「自分をスラブ族と信じたロシア内の高麗人(カレイスキ)がアイデンティティを見つけるという内容が次の作品になる」とほのめかした。



kimjy@donga.com