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重苦しい人生の中で、私を生き返らせた生命水一口

重苦しい人生の中で、私を生き返らせた生命水一口

Posted June. 24, 2006 08:18,   

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貧しいアメ売りの娘に生まれ、22歳のときにたった百ドルを持って米国へ「家政婦移民」をしていたソ・チンギュ博士。娘を女手一人で育て、30近くの歳に米陸軍に志願して将校になっており、42歳にハーバード大学の修士課程に入学し、とうとう58歳に博士号をとった。

彼は生活の苦痛に決してめげなかった。立ち揺らいだたびに「立ち直らなきゃ。倒れるんじゃないぞ」と何回となく自分を励ました。傍からその手の話をしてくれる人さえいなかったので、自分で自分を大切にし、愛すべきだと繰り返して言い聞かせた。ムン・ジョンヒ詩人の詩の1くだりを心の中にしまい込み、人生の熱い希望と情熱を引き出した。

「速くあなたの胸に奥で息を潜めている野生の火である狼の目を覚ませ!」

23の歳に恩師と愛に陥り「世の中が猛反対する」結婚をしていたスターコミュニケーションズの代表であるチョンアン・李。彼は事業に成功した際に、喜びもつかの間、その後すぐ駆られた虚脱感とさらなる欲望に戸惑っており、突然夫に死なれて取り返しのつかない悲しみが追い討ちをかけた。喪失の日々を送っていたある日、彼はどうしようもないと割り切って孤独と寂しさを友達として受け入れようと決心した。そしたら、それとなく訪れてきた心の平和にはっとしたが、感謝した。人生は多くの事件の連続のようにみえるが、実はその事件に反応する私たちの大小の選択の結果によって成り立つものではないだろうか。

「今日私は幸せな人になることを選ぶ!私は幸せなため歌うわけではなく、歌っているため幸せなのだ!」(アンディ・アンディルース著「フォンダ氏の偉大な一日」)

この本は、多様な分野に携わっている文化界の要人28人が胸の中に一生しまいこんできた詩と文を盛り込んでいる。彼らが人生でもっとも大変だったときに「私に来て花になった」文言を集めた。その感動と響きは胸で読むエミリー・ディキンズの詩にそのまま跳ね返る。

「痛い心一つ癒すことができれば/私の人生むなしいものではない/ある生命の痛さを癒すことができれば/疲れ果てた小鳥一羽/巣に入れ戻すことができれば/私の人生むなしいものではない」

演劇の朴正子(パク・チョンジャ)は「19そして80」を公演し、劇中の人物である80歳のおばあさんモードから自分が本当に似たいし、手にしたかった本物の人生にめぐり合えた。

空き家になった家で暮らし、市庁(シチョン・市役所)の前の植木がかわいそうだからといって移り植えるモードは、自分のものは一つもないものの、結局すべてを所有した「がらんとした充足」の人生を生きる聖者だ。物事を驚異なものに感じ、ありきたりの石、木一本、名のわからない草が持つ鮮やかな美しさを伝える。

「人々は笑ったりもし、泣いたりもする。ところが人生でもっとも肝心なのは、人間になることを恐れないことだわ」

もっぱら前だけを見て走ってきたある日、紛れもなく「私のもの」だと思い込んでいた運命がそれを容赦なく奪っていったとき、私たちはがくんとしてしまって絶望に陥る。八方塞の状態で私たちは罠にはまった猛獣のようにうなる。しかし、おそらく人生は苦痛を解いて巣を作っていく過程かもしれない。

両班(ヤンバン=高麗・朝鮮時代の貴族階級)のお嬢さんとして育った黄眞伊(ファン・ジンイ・朝鮮時代の詩人・芸者)が自分が奴隷出身だということがわかり、その衝撃と絶望に苦しんでいるとき、ある僧侶がこのように声をかけてくれる。

「今は毒のついた矢を抜き出す時間です…。すべての苦痛は限界があるため、その向こうに真実があります。ですから感じることができないときまで感じつくしてください。それこそ、苦痛と真に向き合う方法なのです…」(チョン・ギョンリン「黄眞伊」)



keywoo@donga.com