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まさにここが竜宮!

Posted June. 21, 2006 03:05,   

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19日午後、慶尚北道慶州市安康邑玉山里(キョンサンブクド・キョンジュシ・アンガンウプ・オクサンリ)にある古邸宅の独楽堂では、視野が広くなる自然の中で、パンソリの趣きをまともに感じることができる完唱アルバムの録音が行われた。国楽放送と国楽専門アルバム社の「楽堂、イバン」が共同企画したパンソリ自然録音の現場。約400年前、建てられたこじんまりとした韓屋のサランチェに座ったチョン・スンイム名唱(64)は、完唱のパンソリ「水宮歌」で、観客を初夏の涼しい水宮へ案内した。

独楽堂は、朝鮮(チョソン)王朝・中宗(チュンゾン)の時、性理学者の晦斎(フェジェ)・李彦迪(イ・オンドク、1491〜1553)先生が1516年、官職を辞めて故郷に帰ってから暮した由緒深い建物。四方がオープンされている板の間には蝶が飛び交い、土石で作られた塀を越えてきた風は、前庭の榧(かや)の葉を揺らしながら、まるで雨が降っているような涼しい音を出した。

「パンソリは歌い手と鼓手が私説だけを伝えるものではありません。観客のチュイムセ(合いの手)が重要です。今回のアルバムには草虫の音、風の音、水の音もすべて入ります。大変ではありますが、チュイムセを最後まで熱心に入れてください」

同日、録音を担当した金ヨンイル「楽堂、イバン」の代表は、マイクをチョン・スンイム名唱の前に1台、鼓手の前に1台、そして20人余りの観客の前に2台設置した。現場の音を最大限キャッチするという意志だった。水宮歌のハイライトは、陸地に肝を置いてきたというウサギの言葉に竜王が怒るところ。チュンモリ(韓国の伝統音楽の演奏速度の一つ、やや速い)の拍子に合わせて盛り上がった名唱の声に、いきなり塀の向こうから村の子供たちが騒ぐ声が割り込んできた。ともすれば録音が中断される危機の危ない状況。観客らはもっと熱心に「オルス」、「チョッタ」というチュイムセで、外部の騒音を遮断した。

慶州を中心に活動しているチョン・スンイム名唱は、天才的な名唱として名を博したチャンウォルジュンソン(1925〜1998)の長女。高宗(コゾン)の御前名唱だった伝説的な歌い手のチャン・パンゲ(1885〜1937)が母方の従祖父だ。チョン名唱は同日、ソン・マンガプ—チャン・パンゲ—チャンウォルジュンソンに脈がつないできたチャンパンゲ・バディ(名唱によって整えられたパンソリの系譜の一つ)の水宮歌を披露した。

日の暮れになると、カササギの囀る音がさらに大きくなり、遠くから蛙の合唱が小さく聞こえてきた。完唱パンソリ「水宮歌」はもともと3時間の分量だが、録音は5時間をはるかに越して午後7時になってようやく終わった。飛行機が飛び、耕運機とトラックが通り過ぎるたびに録音を中断しなければならなかったからだった。

チョン名唱は、「スタジオで録音すると静かではあるが、洞窟に閉じ込められた感じで息苦しくて声もよく出なかったが、今日は、山河境界を描く『水宮歌』を涼しい自然の中で、知り合いと共に歌うと、声も良くなり、幸せだった」と話した。

国楽放送のチャン・スホンPDは、「国楽が大衆から遠くなったのは、このように観客と演奏者が共に楽しめる空間を失って、剥製化されたためだ。このように自然音響方式で録音されたアルバムシリーズを通じて、国楽の生命力と感動を生き返らせたい」と話した。

同日録音されたチョン・スンイム名唱のチャンパンゲ・バディの「水宮歌」は、24日午後3時、ソウル中区奨忠洞(チュング・チャンチュンドン)の国立劇場ダルオルム劇場でも公演される予定だ。2万ウォン。02—2280—4115。



raphy@donga.com