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「ゾフィー・ショル最期の日々」

Posted June. 15, 2006 03:48,   

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386(1980年代に大学入学、1960年代生まれ)世代たちが大学に通っていた時、一種の必読書リストに「白バラ」というのがあった。第2次大戦当時、ナチ政府に反対したドイツの若者たちの抵抗をつづった手記だ。主人公はゾフィー・ショルとハンス・ショルの兄妹。当時、彼らの物語は、軍事政権に反感を持っていた韓国の若者たちに時空を越え、抵抗と自由の意味をつづった本として幅広く読まれた。

22日、ソウル鐘路(チョンロ)2街のシネコアで封切られる「ゾフィー・ショル最期の日々」は、この本の主人公であるゾフィー・ショルの生を描いた映画だ。学校でヒトラーを非難するビラを密かに撤いたため検挙される瞬間から死刑に至る5日間のことだ。

大学時代に本を読み、20年以上も過ぎてから出会う映画は一味違っていた。彼女の生が、政治的行為ではなく、芸術的行為に見えたのだ。監獄の中でも信念を捨てず、命を助けてやるという調査官の誘惑にも屈せずに、草木のように命を捨てる彼女の生は、理念が消えたこの欲望の時代には、単に欲望の一つと思える。だから新鮮だ。

何かを主張しても、だれでも「正しい」と認めてくれた時代には、ゾフィーのように後先かまわず没入することができた。しかし、没入の対象があまりにも多くなった今は、何かに狂いたくても狂えない。だから現代人たちはゾフィーより幸せであり、またゾフィーより不幸だ。緻密な構成と密度ある演技、古色蒼然した昔のヨーロッパのイメージを盛り込み、映画としても完成度が高い。昔、この本に関わる思い出のある人たちなら、映画を見ながら、あれこれ考えることが多いと思う。R−15。



angelhuh@donga.com