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なぜ愛はこんなにも寂しいものなのか

Posted June. 02, 2006 04:27,   

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2人が離婚届けにサインしたという字幕を疑わせるほどの導入部の挑発的なセックスシーンは、映画『ふたりの5つの分かれ路』の全体ムードの見当をつけさける。「なぜタオルで胸を隠すんだ」、「もう別れたから、他人だと言うのか」という男の問いかけで、2人の男女が離婚したことは間違いないのだが、なぜまた会っているのかという疑問を抱かざるを得ない。

案の定、2人のセックスはあっ気なくなく終わってしまう。「また始められないのか」という男の問いに返事もなく、ドアを強くしめて出ていってしまう女は、男の体を拒否する時の表情と声そのままだ。そして、続くシーンは2人の男女の家。2人は、また何ごともなかったように夕食を準備し、友人を招待して楽しいパーティーを開く。結婚直後の幸せだった瞬間を描いた過去の姿だ。

韓国でもよく知られているフランスの監督フランソワ・オゾンの同映画は、このようにあるカップルが会って、愛し合い、結婚するが、結局は別れるという話を逆に見せる。なぜ別れたのか、理由は明らかではないが、あるカップルの愛と結婚に関するエピソードを、一つ一つ投げるように羅列することで、愛の問題を風変わりな方式で省察させる。

まるで、5編の短編映画のように、各エピソードには2人が感じた歓喜と怒り、裏切りと情熱、ときめきと自己憐憫の感情が表現される。2人の男女が夕陽が沈む海辺に歩いていき、愛し合う最後のシーンは、すでに彼らの結末が分かっている観客に、さらに弱々しさを感じさせる。監督は、愛の寂しさについて語ろうとしているようでもあり、変わらないことは何もないという人生の無常さを語ろうとしているようでもある。

04年、ヴェネチア映画祭コンペティション部門ノミネート作。女主人公を演じたヴァレリア・ブルーニ・テデスキの演技は、同映画祭の主演女優賞にふさわしく、自然だ。上映中。18才以上。



angelhuh@donga.com