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飢えから生の希望を見いだす

Posted May. 13, 2006 06:54,   

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オセアニアの島バヌアツ(実存する島だ)は豊かだが孤立されたところだ。足りないものも、同時に食欲も、飢えもないそこの住民たちは優しく礼儀正しい。しかし、無気力で何にも関心がない。限りなく悠々自適で、何かに対する追求が抜けている生活だ。

小説的描写はここまでだ。バヌアツは作家と対をなす存在の地理的表現であるだけだ。何の食欲もないバヌアツ住民たちと違って作家は、「飢えという唯一無二の力で作動」する人だ。作家において、飢えとは「存在全体のぞっとするほどの欠乏、締め付けてくる虚しさ」だ。

ベルギー出身作家のアメリ・ノトンブ氏は、韓国に熱烈なファンをかかえる数少ない外国作家の一人。彼女の13番目の小説であるこの本は、「小説」と「エッセイ」の境界にある。外交官だった父親について行き、日本、中国、米国などで幼年期と青少年期を過した作家の経験があるがままに反映されている。

この本は飢えた人、すなわち、何かを探し求める人の成長期だ。作家が主に書いてきた自伝成長小説の完結版とも言える。前作である「このように美しい3歳」と同じ時点で始まって、「愛の破壊」を経て大人になった以後の話である「怖さと震え」の直前に終わる。

ストーリーとも言えない3、4歳から20大初盤までの自身の人生をみながらも、作家の辛辣な言葉遣い、アイロニーをつかまえる目は以前としている。

限りなくチョコレートに、水に、人間に、愛に対し飢えていた作家は、自我陶酔と自己嫌悪を行き来する激しい成長期を過ぎ、飢えた経験から快楽を触発するために自身だけの世界を作り出す。読書も創作もそうして始まった。

中身を除き見たら、その毒舌とは…。ジャカルタのハンセン病患者収容所に奉仕しにきたフランスの尼僧の二人が、鳥肌が立つほど太ったのをみて作家は冷たく一喝する。

「今はあんたも分かっただろう。自分に本当に何かの問題がなくては、善意のため人生をまるごと捧げるのは不可能という事実を」

ノトンブ氏の前作と同じく、あっと言う間に読める。熱烈なファンにはより近く作家に内面を覗ける契機が、ノトンブ氏を知らない読者には、作家がどんな人間なのかを見せる入門書となるはずだ。しかし、彼女は一体いつまで、自分の内部だけを耽溺しようとするのだろうか。

原題『La Biographie de la Faim』(04年)。



susanna@donga.com