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本を読む大韓民国

Posted May. 08, 2006 07:08,   

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1540年、資本も事業計画もなく、10人が集まって創立したイエズス会(Company of Jesus)。イエズス会は創立10年で約30の大学を設立し、30年で世界的なネットワークを組織し、18世紀後半までに5大陸にわたり約700の教育機関を設立した。現在2万1000人のイエズス会専門家が約100ヵ国で、約230大学、約4000の中・高校、約2000の研究所を運営している。

イエズス会のこのような飛躍的な発展の原動力は、「イエズス会のリーダーシップ」と呼ばれる優れたリーダーシップ文化だった。イエズス会出身の専門経営者である著者は、まずイエズス会のリーダーシップを含め、現実に適用できる4種類のリーダーシップ・モデルを提示する。440年頃、フン族を強力に結束させたアッティラ式リーダーシップ、君主1人の能力に絶対的に依存したマキャベリ式リーダーシップ、スポーツという制限された環境の中でのみ作用するコーチ・リーダーシップ、急変する環境の中でも、誰でもリーダーになれるというイエズス会リーダーシップがそれだ。著者はこの4つのモデルのうち、イエズス会リーダーシップが470年間の持続的な成長を導き出したという点で、最も現実性があり、效果的だと力説する。

イエズス会リーダーシップの核心原則は、自分の強みと弱点、価値、世界観を理解する「自我認識」、変化する世界を取り入れられるように大胆に革新し適応する「独創性」、肯定的で愛情のこもった態度で他人に接する「愛」、雄大な志を持ち、自他を励ます「英雄的資質」だ。イエズス会は、このようなリーダーシップ原則を日常生活に取り入れ、貿易、教育、学問の效率的な国際ネットワークを運営してきた。

今日、多くの企業は、ピラミッド位階組職で、「偉大な一人の人物」に依存する上意下達式リーダーシップ・モデルを取っている。いっぽう、イエズス会のリーダーシップは、「個人一人一人は、まだ開発されていないリーダーシップ潜在力を持っており、上手くても下手でも、自分がリードしていれば、誰でもリーダーになれる」と考える。組織員の自発的な動機付与を導き出すのだ。情報化社会、知識社会、急変する環境では、ピラミッド組職よりもネットワーク組職がより效果的であり、リーダーシップも、「偉大な一人の人物」に依存するよりは、多様な知識と背景を持つ多数に任せるのがより安定的だ。

今日、企業で求められる企業家精神、ベンチャー精神を、イエズス会のリーダーたちはすでに470年前に生活化していた。イエズス会が創立された時代は航海の技術の発達で、欧州と米国、アジアがつながれ、印刷術の発明で知識が拡散するなど、急激な環境変化が起こった時代だった。イエズス会のリーダーたちは、変化する環境に積極的に挑戦し、新たな市場、すなわち「ブルー・オーシャン」を開拓した。新しいことへの好奇心とときめき、未知の世界に対する関心と熱望が、イエズス会が、アジアや米国を結ぶ国際ネットワークに成長することに大きな役割を果たしたのである。