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映画『死生決断』で狂気の刑事役のファン・ジョンミン

映画『死生決断』で狂気の刑事役のファン・ジョンミン

Posted April. 20, 2006 03:03,   

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「私は気が狂ってたようです」

18日、映画『死生決断』の試写会が終わった直後に会った彼は、映画の中の自分をこのように言った。

「生きること自体にぞっとしました。本当にぞっとしました。真面目に生きていかなければならないと思いました。迷惑をかけないで」

「ケリをつけよう」という気で、運命の行き詰まりまで疾走する映画の中のド警長と、麻薬ブローカーの李サンド(リュ・スンボム)のことを言っているようだった。

彼に、「人を殴る演技をどうやってそんなに上手くできるのか」と聞いたら、「実は、人を殴るのはとても難しいです。『こうしなきゃ私が困る。勘弁してよ』という気持で殴るんです」と答えた。

役者ファン・ジョンミンをみていると、「本当のファン・ジョンミンは誰なのか」と問いたくなる。『女子、ジョンヘ』の存在感の薄い「空気」みたいな男なのか。『甘い人生』の殴り殺したいくらい悪辣な奴なのか。『君は私の運命』の涙なしでは見られない純情派なのか。でなければ、『人生で最も美しい一週間』の鈍感だが心暖かい男なのか。

「役者は舞台の上にいるかカメラの前に立っている時だけ役者でなければなりません。『私は役者だ』と威張るのは真の役者ではありません。役者の『才能』は、ナイトクラブに行き、女をナンパし、いつでも泣けるのが才能ではないのです。それは分別がないとしか言えません。役者としての才能は、自分の中に埋めておくのです。我慢して待つのです。作品が来るまで。それができなければ『バカ』です」

ファン・ジョンミンはほとんど癖のように「私はただ私であるだけです」と言った。役者としての自分と、一人の女性(ミュージカル俳優の金チヘ)の夫でありながら自然人としての自分を区分しようとするのが、自分の人生の方向だと言って。普段も地下鉄とバスを利用し、公演場と書店にもあたりかまわず姿を現わすのも、このような方向性の延長であろう。彼は実際に、自分の性格に対し、「『ぼーっと』してる性格です。優柔不断で」と説明する。

役者として彼は二つの鉄則を持っている。ひょっとしたらこの二つが、彼を06年4月現在、韓国最高の性格俳優にした「生存の法則」かも知れない。

「最も重要なのは、観客から、『7000ウォン(観覧料)がもったいない』とは言われない作品と演技をすることです。私を選んでくれる人たちに私がしてあげられることは一つだけです。お金を支払った甲斐が感じられるようにすることです」

二つ目はこうだった。

「徹底してストーリーの気に入る映画をします。私の配役が主演であれ助演であれ、それは気にしません。人間味の感じられるストーリーを選べば、その中の人物と役割は自然と目立ちます」

彼は『君は私の運命』でエイズにかかった女性を死ぬほど愛する自分を引き止めようとする母親に、泣き叫びながら、「母さんが私の人生を代りに生きてくれるのか!」というセリフが、今も脳裏から消え去らないと言った。高校時代、演劇するのをひどく反対した母親に、ファン・ジョンミンが泣きながら言った言葉だったからだ。

ファン氏に、「この世で一番好きなものと一番嫌いなもの」を聞いたら、まず、「妻との散歩が一番好きだ」と答えた。一番嫌いなのは「バースデーパーティー」だった。

「私がロウソクの火を消すのを待ちながら人々が見ている瞬間がこの上なく気まずいんです。私は苦手なんです。注目されるのが…」



sjda@donga.com