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ハリウッド「隣人」に目を向ける

Posted April. 06, 2006 03:06,   

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●自動車衝突で見た人種衝突の断面

▲『クラッシュ(Crash)』〓ロサンゼルスという都市に住むという点を除けば、共通点が一つもない多彩なカップルを登場させ、米国社会が病む人種偏見の内傷をえぐり出した映画だ。索漠として冷たい都会人たちが、激しく交流する唯一の空間は、他でもない車の衝突(クラッシュ)現場。白人政治家や中産層の主婦、白人警察官、黒人刑事やラテン系女刑事、黒人青年や白人夫婦、イラン人女性とヒスパニックなど、肌の色も年も異なる15人の主人公たちは、交通事故を契機に、偶然な時間、偶然な場所でぶつかり、交錯する。

彼らは見た目は立派だが、内心は傷だらけだ。病気の父親を看病する白人警官は、昔、黒人に慈悲深かった父親が受けている社会的冷遇が、雇用を奪った黒人のためだと考え、黒人容疑者たちに暴力で接する。

英語ができないイラン人の中年男性は、イランとイラクを区別できない人々から、「他人の国のビルに飛行機を打ちこみ、人を家畜のように殺した」と無視される。教育を受けられず、貧しい黒人青年は、自分の人生がうまくいかないのは、無条件、人種差別のせいだと考える。政治的野心に飢えた夫から疎外された白人女性は、絶えず誰かを疑い、叫び、自らを傷つけるが、なぜ自分がこのような状態に置かれているのかがわからない。人々はみな怒っている。持てば持つほど不安になり、なければないで不満だ。疎外、偏見、執着、恐れ、恐怖、無理解が生んだ寂しさのためだ。映画のオープニング部分、黒人刑事の独白は、映画を貫くメッセージだ。

「情が恋しくて、こう(交通事故)するんだ。他の都市では、道で人々ともまれながら情を感じるが、LAは索漠としている。いつも車の中に閉じこめられて暮す。人の体臭が恋しくて…。(だから)衝突して傷つけ合うんだ」

人々が、死の直前の事故現場で、体も支えられない苦痛の極限で、痛みの底で、「あなたと親密になりたくて、交流したくて、理解し、受け入れたかった」ことを表現するシーンが感動的だ。6日上映。15歳以上観覧可。

●出稼ぎ労働者を通じてイスラム文化に照明

▲『シリアナ(Syriana)』〓石油をめぐり米国が繰り広げる政治的陰謀が主要概要だが、CIA要員(ジョージ・クルーニー)、エネルギー専門アナリスト(マット・デイモン)、買収合併弁護士、さらにパキスタンから来た出稼ぎ労働者4人を主人公にして、米国社会でイスラムの存在を敵ではなく理解すべき対象として描いた映画だ。

映画の中で米国人たちは、天然ガスの採掘権を再び手に入れるために、王位継承者を暗殺する任務を受け、あるいは改革性向の王位継承者の経済参謀として、または買収合併を処理する弁護士として、それぞれイスラムと関係を結ぶ。みな祖国のために働くが、祖国は彼らを裏切る。自発的に爆弾テロに参加するパキスタンの出稼ぎ労働者ワシームの内面も客観的に描かれる。

映画は、自他を問わずイスラム文化と関係した米国人とイスラムの人々の運命を「石油」というコードで編みあげ、米国人が9・11テロ以来、生活の中に入り込んだイスラムを理解して認めるために努力する一面を見せる。上映中。15才以上観覧可。

●西欧文明とアフリカの犠牲告発

▲『ナイロビの蜂(The Constant Gardener)〓アフリカ・ケニアを背景に、人権運動をして不慮の死をとげた妻の足跡をたどり、大手製薬会社の陰謀と不正を暴くある男の闘いと愛情を描いた。

一見、ストーリーとは関係がないようなタイトルは、男性主人公のジャスティン(レイフ・ファインズ)の趣味。積極的で情熱的な人権活動家のテッサ(レイチェル・ワイズ)と恋をして結婚したジャスティンは、ケニア駐在英国大使館から発令を受け、子どもの誕生を待ちながら、幸せな時間を過ごす。

しかし、妊娠中のテッサが砂漠の真ん中で殺害され、彼の運命は悲劇に向かう。テッサは、ケニアの貧民に対する米国大手製薬会社の違法な新薬実験を暴き出そうとしていた。先進市民の立場で発展途上国を対象化させた視線ではなく、アフリカ人の立場でアフリカを描いたという点が新鮮だ。原色に満たされたケニヤの貧民村と広大な野生そのままの自然が溶け合ったスクリーンには、監督が送るアフリカへの愛情が溶け込んでいる。映画のクライマックスで、ジャスティンの葬式に出席したテッサのいとこの言葉に含みがある。

「アフリカに殺人はありません。胸が痛む死があるだけです。私たちは、その死の上で文明の恩恵を受けています。私たちが簡単に得ることができるのは、彼らの生命が安く売れたおかげです」。20日上映。15才以上観覧可。



angelhuh@donga.com