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「韓国の壁」を越えるか

Posted March. 03, 2006 09:33,   

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初演ミュージカルと、お見合いの共通点は?

①どんな相手(作品)か気がかりだ、②初対面が2度目の出会い(再観覧)を左右する、③期待は小さいほどいい。

初めて国内の舞台で演じられるフランスのミュージカル『壁抜け男』は、出会う前から期待が膨らむ条件の見合い相手のような作品だ。

フランス作家のマルセル・エイメの有名な小説が原作という「心強い背景」と、フランス最高権威であるモリエール賞受賞作(最優秀ミュージカル賞、最優秀演出賞)という「華やかな経歴」、くわえて『シェルブールの雨傘』で有名な映画音楽家ミッシェル・ルグランの音楽という「ロマンチックな魅力」まで兼ね備えている。

いつの日からか、壁を通り抜ける能力を持つようになった平凡な公務員デュティユル。このミュージカルは、壁を抜けて宝石店などを襲い、貧しい人を助けたデュティユルが、検事の妻イザベルを愛して起こる話を描いた。

「壁抜け」という設定が荒唐無稽なだけに、論理的なプロットは重要ではない。その代わり、この作品の妙味は、生き生きとしたキャラクターを満喫することにある。登場人物12人全員にソロの曲が与えられるほど、助演キャラクターの比重が大きい。

先月28日に幕を上げたこの作品で、10人の助演は、惜しみない拍手を送りたくなるほど、すばらしい一人多役の演技を披露した。特に、老いた弁護士として登場した金ソンギが、最も注目を集めた。彼が、自分の人生を並べ立てた後、「でも、無罪にしてくだされ」と言って、近頃流行りの「〜され体」で白々しく歌を歌えば、客席は拍手と笑いで応える。

しかし、「笑い」が助演の役割なら、最後の短い「感動」は完全に主演の役目だ。しかし、初日の公演で、デュティユル(パク・サンウォン、オム・ギジュンのダブル・キャスティング)を演じたパク・サンウォンは、少し物足りなかった。早いリズムの曲では歌詞の伝達力が劣り、歌詞を聞き取ろうとする観客は、デュティユルのキャラクターに共感する余裕がなかった。そのため、デュティユルがイザベルと愛の二重唱を歌う時も、感動を引き出すことは難しく、クライマックスの死ぬシーンでは、「私は壁の中に閉じこめられたまま、硬くなっていく」と切なく歌っても、共感を与えなかった。

何よりも初公演の緊張からか、パク・サンウォンのデュティユルは、終始重く、感情の緩急の調節に失敗した。その点で、軽快な演技で魅力を発する俳優のオム・ギジュンが演じるデュティユルが期待される。

4月2日まで。火〜金8時。土4時、8時。日3時、7時。ソウル・芸術の殿堂トウォル劇場。4万〜7万ウォン。1588—7890



sjkang@donga.com