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生を支配する者が長寿を得る

Posted February. 25, 2006 03:05,   

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人はだれでも元気に長く生きたいと思う。一生懸命運動し、食生活を変えようと努めるのもこのためだ。しかし、これらの要素より、私たちの健康と寿命を左右するもっと大きな要因があるとすれば?

トイレ3つ、5部屋の家で暮らすほうが、トイレ2つ、4部屋の家で暮らすより、健康にいいとすれば?修士号を取った人が学士号を取った人より長く生きるとすれば?社長が部長より健康で長生きする可能性が高いとすれば?

米ワシントンDC都心の東南方からメリーランド州のモンゴメリー郡まで地下鉄に乗ってみよう。1.6キロ動くたびに人の平均寿命は1年半ずつ増える。ワシントン都心の先端に住む豊かな白人たちは、よその地域の先端に住む貧しい黒人たちより、20年長く生きるという。数キロのスペースの間に見られるこの劇的な対照!

1972年から1991年まで20年間、8500人の米国人男女を対象に、平均世帯所得別に死亡危険率を調査した結果は衝撃的だ。最下位所得階層である5等級の死亡危険率は最高1等級に比べて4倍も高かった。

富の振り子によって「健康のスペクトラム」は両極端を描く。だからこんな冗談がある。「貧乏があなたをみじめにするというのは悪い知らせだが、そんな状態で長く生きなくても済むというのはいい知らせだ」。

それなら、これらすべてのことがお金にかかわる問題なのか。同じ調査で、教育水準別に死亡危険率を計算したときも結果は似ていた。教育水準が低いほど死亡危険率は高かった。職業群による分類も同じだ。職場がいいほど死亡危険率は下がる。

1976年、ロンドン大学公衆保健学教授として勤務中に、英国の公務員の疾病感染率が地位の上下によって変わるという調査結果を出した著者。過去30年間、世界各国を巡りつつ健康の社会的不平等の要因を研究してきた同教授の結論はこうだ。「社会的地位が高い人であればあるほど、より健康だ。金と権力が不公平に分配されるだけでなく、健康と寿命も同じだ。いわゆる、『地位シンドローム(status syndrome)』だ」。

社会的地位は、物質的資源の豊かさだけを意味しない。生についてどれほどの支配力を持っているか、そしてどれほど社会に介入し参加する機会を持っているかどうかを判断する。

インド・ケララ州の所得水準は、全国の平均値に及ばない。しかし、貧しさの最も敏感な指標である幼児子死亡率はこの国で最も低い。平均寿命も他の州よりはるかに高い。なぜか?

民主的に選出された社会主義政党が統治するケララでは、女性たちの教育水準が非常に高い。女性が尊重される社会だ。女性に投資する社会は包容力ある社会だ。教育の恩恵はその象徴的な指標だ。社会的支援と関心が健康を改善させているのだ。ノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センは、これを「支持が導き出す効果」という。

すべての社会には階級があり、健康の不平等があるものだ。それは不可避に見える。しかし、健康の不平等は生物学的な属性ではない。社会の固定された特性ではない。私たちが健康と社会の相関関係についての考え方を変えていけば、また、それによって社会のすべての階層に「機会の門戸」を広げていけば、その不平等のディバイドはいくらでも縮めることができる。

「タイタニック号が沈没したさい、乗客の運命は身分によって分かれた。救命ボートが多く備えられていない3等客室に乗った人々が最も多く水におぼれて死亡した。社会的地位の低い人のほうが、より高い溺死の危険にさらされているということが正しくないとすれば、彼らが脳卒中や肺癌、精神病、自殺、暴力などに対し、より多くさらされているという現実も正しくないのだ。」

「地位シンドローム」は文明社会の汚点だ!

原題『The status syndrome』(2004年)。



keywoo@donga.com