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おしどり夫婦になるには、恋人のようにささやいて

おしどり夫婦になるには、恋人のようにささやいて

Posted February. 04, 2006 04:35,   

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「このティッシュ箱はリサイクルできるのよ!」

ヘレンが風呂場で叫んだ。彼女は決定的な物証を探し出した捜査官のように、ゴミ箱に捨てられたティッシュ箱をにらんでいた。サミュエルが言い返す。「リサイクルできることぐらいオレだって知っている。だからいちいち説明しなくてもいい!」

妻ほどでなくても、サミュエルもリサイクルに賛成していたのだ。しかしどうしたことか、この日、何気なくティッシュ箱をゴミ箱に捨てたのだ。それがヘレンの目にとまるとは。

サミュエルはぶっきらぼうに言った。「いちいちゴミ箱をあさってまで、オレが何を捨てたか確認しなくてもいいじゃないか。壊れたティッシュ箱より、オレたちの関係がもっと大事だろ」。

ヘレンが言葉をさえぎった。「私は今、私たちの関係じゃなくて、リサイクルについて言っているのよ」。

「愛する者どうしは常にケンカをする」(ウクライナのことわざ)とは、よく言ったものだ。

むろん、家族は大切だ。人は家族から慰みを得る。寂しく辛い時、この厳しい世の中で、誰に飢えた心を寄せることができようか。しかし、「愛の井戸」からくみ上げた水の味が、常に甘いとは限らない。

家族はとても近いため、見たくもない暗い面を見ることになる。誰かと長く暮らせば、その人の欠点を隅々まで知ることになるのだ。とても親しいゆえに、互いに傷つけあう。家族そのものがアイロニーなのだ。

『愛しているならそう言わないで』は、家族という「愛の落とし穴」、足を踏み外せば奈落の底に落ちてしまうその残酷な真実を、多様な例を挙げてこっけいに描き出しながら、切実に教えてくれている。互いに身を寄せ合って暮らす生活が、いかにして、たった一言の言葉であっという間に炎に包まれてしまうのかを、ありありと見せつける。

多くの男性たちは、結婚生活で最大の不満は何かと聞けば「妻が煩わしい」と言う。しかし、女性たちは、そのような不平を言わない。なぜか。

「たまに、妻が言葉をかけてきても、返事をしません。一体何が言いたいのか理解できないことがあります。数日前、一緒にテレビを見ていたら、自分の弟にどんな職業が合っているかと突然聞いてきました。40過ぎた妻の弟に何の忠告をしろというのでしょうか」(50代、タクシー運転手)

しかし、テレビを見ながらも会話を望むのが女性だ。妻は、何も言わずにテレビだけを見ている主人に、何か物足りなさを感じる。妻が悩みを切り出したからといって、一緒に深刻になる必要はない。あれこれ考えを言って、互いの関係を理解し共感できれば十分だ。

だから、妻が隣の家の陰口を言ったからといって、顔をしかめてはいけない。彼女はただ、あなたと話しがしたいだけだ。「じゃ、これから付き合うな」。こう言うのは、決して賢明ではない。

米・ジョージタウン大学の言語学科教授で詩人でもある著者。彼は強調する。「会話の中にこそ希望がある」と。

しかし、言葉の中には、不和の種が潜んでいるものだ。会話のテクニックが必要である。要領を得ていなければならない。相手の立場を考えずに何気なく言った一言が、とげになる恐れがある。会話が空回りすれば、火花がどこに飛ぶかは誰にも分からない。

家族の菜園に愛だけが育つわけではない。至る所に地雷が散らばっている。だから、スペインの哲学者の言葉を肝に銘じておく必要がある。

「すべての言葉は欠乏だ。自分が言いたいことをすべて言うことはできない。すべての言葉は過剰だ。伝えなくてもいいことも伝えてしまう…」(ホセ・オルテガイガセット)

著書の原題は『I Only Say This Because I Love You』(2001年)



keywoo@donga.com