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口の中の性感帯…「君に性が分かるのか」

口の中の性感帯…「君に性が分かるのか」

Posted January. 13, 2006 05:19,   

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『シュリ』、『西便制(ソピョンジェ)』などを輸入し、映画もつくる在日韓国人の李鳳宇(イ・ボンウ)氏が運営する日本映画社シネカノン直営のソウル明洞(ミョンドン)CQN劇場が、オープン作として異色作品2編を選んだ。明洞ミリオレ近くのキャッツ21を改装し、90〜140席規模の5館でオープンするCQN明洞は、韓国映画『野獣』や『作業の定石』とともに、スペイン映画の『キル・ミー・テンダー』と社会性の濃い米国のドキュメンタリー映画『インサイド・ディープ・スロート』を上映する。第1館は2月頃に、日本映画専門の上映館として運営される。

12日に封切られる『キル・ミー・テンダー』と『インサイド・ディープ・スロート』は、性に対して露骨にアプローチするという点で同じだが、単純なポルノではなく、性をコードにした社会批判的、人文学的省察を盛り込んでいるという点で、同映画館が志向する色を表わしている。

▲インサイド・ディープ・スロート(Inside deep throat)〓『のどの奥深く』と訳される同映画は、「映画に対する映画」を扱ったドキュメンタリーだ。1972年に米国で上映された原作をもとに、映画の制作過程と裏話を扱った。原作の『ディープ・スロート』はポルノ映画の古典だ。上映当時、破格の素材と米国の映画館で上映された初めてのポルノという点で、話題を集めた。

ストーリーは、自分の性感帯が口の中にあることを悟ったある中産層の女性が、性に貪欲になるというもので、簡単なストーリーだ。しかし、大胆な描写と女性の性欲を率直に描き出したという点の他にも、制作コスト2万5000ドルの低予算で、当時の米国社会の話題だったセクシュアリティの解放や女性平等、既成社会に対する冷笑を描き出し、興行的にも成功した。

しかし、この映画は裏話としてまた映画が作られるほど、多くの話題を生んだ。上映2年後にポルノ規制が生まれ、同映画が元となって、男性主人公だったリームスが拘束される。しかし、直後にニクソン大統領が匿名の情報提供者『ディープ・スロート』によって明るみになったウォーター・ゲート事件で退くや、同映画は表現の自由の限界を破った「神話」になる。

しかし、数年後にフェミニズムの波が起り、ポルノ映画が女性の敵に追いやられるようになると、また同映画は標的となって、女性主人公のラブレイスまでフェミニズム陣営に加わる。

今回紹介される「のど」は、米国HBOドキュメンタリー制作陣が、俳優やスタッフ、当時の波紋に関係した人々を2年間インタビューした肉声を通じて、ふんだんな話題を盛り込んだ。社会・文化的に話題を投じた一つの文化商品を単なる一過性の消費ではなく、魂を持った生命と見なし、その変化と波長、関係への省察を盛り込んだ作品だ。

▲キル・ミー・テンダー〓スペイン・バルセロナ近隣の小さな村で暮らす平凡な人々が退屈な生活の脱出口としてセックスを選んで起こる事件がストーリーだ。官能的な20代の女性主人公マリベルを中心に、登場する人物たちの共通点は欲望に正直だということ。娘より幼い女性を求める老いたパン職人、このパン職人の金が欲しくて殺そうとする女の恋人、歯科医師の夫が幼い女性の体を買う事実を知って離婚したパン職人の娘など、荒唐無稽な人物たちの暮らしは実話だという。

セックスがコードではあるが、監督が伝えようとするメッセージは、人生の「検討はずれ」や「予測不可能」という点で、一種のブラック・コメディだ。主人公たちの行動は、常識の線ではまったく理解できないが、それなりにうなずける状況の中で、最善の選択をしているという普遍性を感じさせる。キャラクターの生命力が劣り、ストーリーが散漫で、完成度の面でもの足りない点はあるが、ペネロベ・クルスに続く次世代の女優と言われるアルベル役のイングリッド・ルビオの発見は収獲だ。



angelhuh@donga.com