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映画 『私の結婚遠征期』

Posted November. 10, 2005 03:34,   

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花嫁探しにウズベキスタンに発った農村青年(独身男)たちのお見合い旅行。一行にまとめられるような単純な骨組みに豊かなエピソードと魅力ある人物たちが加わり、粗悪だが人間味あふれるドラマが誕生した。映画『私の結婚遠征期』(脚本・監督=ファン・ビョングク)の話だ。

この映画は今年、第10回釜山(ブサン)映画祭の閉幕作に選ばれて、早くから注目された。映画祭側は選定理由について「あたたかくユーモラスながらも余韻のあるメロドラマ」とし「より多くの生の重荷を背負いながら、文句なしに自分の人生を充実させる辺境の人々に送る、心のこもった映画だ」と説明した。

慶尚北道醴泉(キョンサンプクド・イェチョン)に住む38歳の青年マンテク(チョン・ジェヨン)とヒチョル(ユ・ジュンサン)は、性格がまったく異なるが、幼い頃からかけがえのない友達だ。純朴でばか正直な農夫マンテクと、ずうずうしいが憎めない浮気者のタクシー運転手ヒチョル。婚期を逃した「罪」により、家でいろいろと言われた二人は結局、大金をかけてウズベキスタンに花嫁を探しに旅立つ。そこでマンテクは、堅実で賢い現地通訳者ララ(スエ)の力を借りてお見合いをする。しかし女性とまともに目を合わせることさえできないマンテクに、お見合いがうまくいくはずがない。

何よりこの作品は、巧みにつくられた大衆映画という点できわだっている。キャラクターとドラマが生きている。俳優たちの好演と組み立てのしっかりした演出のおかげだ。丸いヘアスタイルに、農村青年の雰囲気を生かすために15kgも体重を増やしたチョン・ジェヨン、パーマ頭に突き出た下腹、日焼けした肌のユ・ジュンサンは本当に田舍の青年のようだ。

キャラクターと一体になったような2人のコミカルさと愉快な演技は、映画の楽しさと説得力を高めるのに一役買っている。

脚本と演出を担当したファン・ビョングク監督の発見も、この映画の収獲だ。農村青年のウズベキスタン結婚遠征期を取り上げたテレビドキュメンタリーからモチーフを得たというファン監督は、今回のデビュー作で、簡単でないストーリー展開と演出力を見せてくれる。情あふれる田舍の風景とウズベキスタンの異国的な風光を十分にいかしつつ、農村青年の哀歓を軽すぎず重すぎずに描き出そうとした試みは、かなり成功している。

語尾に親しみがわく醴泉のなまり、酒に酔って、町内会館のマイクのスイッチが入っていることも知らずふたりの青年が「18歳のスンイ」を声高く歌って母親にたたかれる場面、ララに勧められて発音もまともにできないロシア語を学ぶために苦労するマンテクの話は微笑ましい。

ここには、社会的メッセージも加えられている。「コメの輸入にニンニクまで。こんどは女性まで買ってくるのか」という台詞には、重苦しい我が国の農村の現実に、ララを通じて脱北者問題にまで触れる。

この映画のイメージを一つの単語で表現するなら、それはまさに「情(ジョン)」だ。炎々と燃えあがるあつい情熱ではなく、オンドル部屋のようにゆっくりと長い間ぬくもりを維持する、そんな温かい情だ。映画の中には家族間、友人間、男女間の情が感じられる。

だから、社会の周辺部に生きる彼らの痛みと寂しさを描きながらも、全体の色合いは明るくポジティブだ。ねじれたり歪曲したりしない、気立ての善良な人々がもたらす笑いに出会うのは久しぶりだ。今も確かにわが国の農村のどこかで暮らしているような、彼らに会いたい。映画の封切りは23日。映画観覧は12歳以上。



mskoh119@donga.com