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愛の迷路に閉じこめられた三人の男女

Posted October. 14, 2005 07:36,   

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よく「愛は権力関係」と言う。より愛する側が常に胸が痛み傷つくからだ。

この言葉を思い浮かばせる『ホワイト・ライズ』(監督ポール・マクギガン)は、独特の構造を持ったメロ映画だ。多くの人が行き違う都市の男女の寂しい愛を描いたこの映画では、一つの真実を眺める三つの視線が重なる。愛する男に一言も残さず突然姿を消した女、蜃気楼(しんきろう)のようにつかまらない彼女の跡を探し求めるある男、その過程で男の前に現れたかつての恋人と同姓同名の女性。映画は、三人の間の微妙な関係を愛と疑惑、記憶と現実を交差させる構成で話をつないでいく。

写真作家を夢見てシカゴのビデオ店で働いたマシュー(ジョシュ・ハートネット)は、誰かが修理を任せたビデオカメラに写った美しい女性の姿を見て一目惚れしてしまう。ある日マシューは、街でカメラの中の彼女を見つけて後を追う。モダンダンサーである彼女の名前はリサ(ダイアン・クルーガー)。二人は愛に陷るが、会社を移らなければならないマシューがニューヨークに一緒に行くことを提案した翌日、リサは突然姿を消してしまう。

2年後、マシューは投資会社の広告責任者で婚約者と一緒にシカゴに戻ってくる。中国出張を1日後に控えたマシューは、カフェで偶然にすれ違った女性が、2年前に一言も言わず去ってしまったかつての恋人だと思う。彼はまるで幻想を追うように、すべてを投げ捨てて都市を迷いはじめる。遂にリサのアパートを捜し出したマシュー。彼の記憶の中であまりにも鮮やかなかつての恋人の匂いが残っているそこには、意外にもリサと同姓同名の持った女性(ローズ・バーン)が暮らしていた。

この映画は基本的に、去っていた恋人に対する、ある男の痛切な悲しみを描いたメロ映画だ。それでも中盤部まではまるでスリラーのようにサスペンスも感じられる。二人の恋人の出会いと別れは現在と過去への回想が交錯する構造で描かれ、その間に挿入された多様な反転は観客を迷路に陥れるからだ。果たして、どこまでがマシューの記憶で、どこからが現実か。リサが彼を去った理由は何だろうか。マシューがカフェで出会った女性は本当にリサだろうか。

遂に、2年前にマシューとリサが別れなければならなかった理由が玉ねぎの皮を剥くように一つずつ実体を現す。すべて予想を上回る反転で観客をとらえた映画も徐々に力が抜けていく。最後にすべての答えを一気に知らせようとする映画の親切さに気が抜けてしまう。

映画『パール・ハーバー』のハートネットは、失ってしまった愛のために傷ついた男の混沌とした内面をデリケートに表現し、『トロイ』に並んで出演したクルーガーとローズ・バーンもそれなりに魅力的だ。

あなたが一目惚れした男が他の女を愛したらどうする?愛という名のもとにどんな狂気も許されるだろうか。こんな質問を投げかける映画だ。モニカ・ベルッチが主演したフランス映画『アパートメント』(1996年)のリメイクで原題は『Wicker Park(ウィッカー・パーク)』。封切りは13日。観覧は15歳以上。



mskoh119@donga.com