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ビッグ薛とリトル薛

Posted August. 31, 2005 06:49,   

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「最近、金をもうけているのは『薛氏兄弟』だけだ」

ショービズ業界でささやかれる言葉は、冗談のようで冗談ではない。「薛氏兄弟」とは、ソル&カンパニーの薛度胤(ソル・ドユン)代表(46)とクリップサービスの薛ドグォン代表(42)の2人のことだ。

兄はミュージカル『オペラ座の怪人』、弟は『アイラブユー』のプロデューサーを引き受け、それぞれ両作品を今年最大の興行作にした。9月1日に幕を閉じる『オペラ座の怪人』は有料客席シェア95%という暫定集計が出ており、『アイラブユー』は今年上半期の前売りランキング1位を占めた興行作だ。兄は大劇場を、弟は中小劇場の市場を「制覇」したわけだ。

「兄弟がいつも一緒にいるのはおかしい」と言って、できるだけお互いを避けるという兄弟プロデューサーと一同に会した。

●プロデューサーVSプロデューサー

『アイラブユー』は、弟ドグォン氏の「ミュージカル・プロデューサー」デビュー作。これまでドグォン氏は企画、製作よりは公演マーケティングに力を注いできた。

「私も兄の後を引き継いでプロデューサーの道に入ったが、お互いの『領域』は分けました。兄はアンドリュー・ロイド・ウェーバーの作品など大型ミュージカルに力を注ぎ、私はこれからオフ・ブロードウエイ・ミュージカルの中から選ぶつもりです。」

二人が「別々に、また一緒に」ミュージカルの世界でともに仕事を始めて今年でちょうど10年目。兄弟は最近「共同プロデューサー」として一緒に名前を載せる初作品を準備している。2001年トニー賞全部門にノミネートされて12部門を席巻し、歴代最多受賞記録を打ち立てたミュージカル『プロデューサーズ』。ブロードウェイのベテランミュージカル・プロデューサーと新人プロデューサーが投資金を持って逃げるために、わざと作品をだめにしようとするが、意外に大当りして計画が狂っていくという内容のコメディー。

このような「詐欺行為」が現実でも可能だろうか?

「製作費をふくらます『変なプロデューサー』もいることは事実です。この作品の投資金であの作品も作って、後でまた補填するどんぶり勘定式の資金運用もなくはないです。ミュージカルが産業として定着するには何より透明な会計が重要です」(ドユン)

●ビッグ薛VSリトル薛

外国のプロデューサーたちは、兄を「ミスター薛」、弟を「リトル薛」と呼び分ける。国内では、兄は「薛代表」、弟は「薛社長」と呼ばれる。

声楽専攻の兄と経営学を勉強した弟は、専攻と同じくらい性格も違う。

兄が思いついたらすぐしゃべるスタイルなら、弟は具体的な数値を例にあげる場合が多い。たとえば「チケット価格を30%割引すれば売上げが50%増える」というぐあい。

外向的な性格の兄は人に会うのが好きだが、弟は人の前に出ることを嫌う。性格に合わせて兄弟はいち早く「業務分担」をした。

「飲酒歌舞」及び「ゴルフ」に関わることは兄が、残りは弟が引き受ける。「お兄さんがおいしいところばかり持って行っているのではないか」という問いに、弟は「それがおいしいところなんでしょうか、私にとっては、そんな兄がかわいそうですけど…」。

●事故屋VS収拾屋

インタビュー写真を一緒に撮っていても「数十年ぶり」と言ってぎこちなかったが、兄弟の情は格別だ。浦項(ポハン)出身の二人は幼いころ、ソウルで同じ下宿から学校に通った。

「私はいつも『事故屋』、弟はいつも『収拾屋』だった」と自認するように、兄はいろいろと多くの事故を起こした。兵役中にディスコに行くつもりで軍の車をこっそり運転し、事故を起こしたときも、兄はまっさきに弟を呼び出した。

「事故屋—収拾屋」の関係が逆転したのは1990年以降。あれこれとやっていた弟がビジネスに失敗すると、兄は黙々と、退職金をすべてはたいて借金を返してくれた。今は、兄弟が一緒に事故を起こすのではないかという問いに、二人はこう答えた。

「それじゃ、私たちが『プロデューサーズ』の主人公になっちゃう」



sjkang@donga.com