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誰が彼女を殺したか…48時間、生中継される捜査

誰が彼女を殺したか…48時間、生中継される捜査

Posted August. 04, 2005 03:13,   

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●手がかりのない現場…2時間後に容疑者検挙、しかし…

映画のストーリーを骨、俳優を肉にたとえるとしたら、張鎭(チャン・ジン)監督の5作目の長編映画『拍手する時に去りなさい』は、よけいな脂肪分がなく、油身のない肉だけがくっついた骨だ。色とりどりの薬味(特殊效果やアクション)や嗅覚を刺激する香辛料(派手な美術や視覚デザイン)を入れたわけでもないのに、良質の肉と骨は噛むほどに味が出る。

『拍手する時に去りなさい』は、張監督の映画の中でもっとも大衆的だ。殺人事件の現場にいつも偶然通りかかり容疑者として逮捕される男(『すごい男たち』)やタクシー強盗にあうまぬけな北朝鮮スパイ(『スパイ、リ・チョルジン』)、学生には割引もする殺し屋たち(『殺し屋たちのおしゃべり』)のような人物は現れない。「実際いそうな」検事や刑事や容疑者、参考人や目撃者などが「実際起きそうな」殺人事件をめぐって繰り広げるサスペンスだ。

江南(カンナム)の最高級ホテルの1207号室で、美貌のコピーライター、チョン・ユジョン(俳優の名前を言うと、主要反転が起こる)が、凶器で9回も刺された遺体で発見される。警察は事件発生からおよそ2時間後に容疑者の金ヨンフン(申河均)をホテルの駐車場で逮捕、凶悪事件解決の「生きた伝説」とされるチェ・ヨンギ(チャ・スンウォン)検事が彼を訊問する。ある放送社は「良い国作り運動本部」とともに捜査の過程を48時間全国に生放送する。しかし、嘘探知機の検査結果、金ヨンフンが犯人ではないことが確認され、検事は当惑する。

●チャ・スンウォン、申河均のお笑いコンビ…張鎭式のユーモアは続く

張監督はこの映画で演劇的な演出と映画的な演出の絶妙の調和を見せてくれる。撮影の80%は京畿道坡州(キョンギド・パジュ)ヘイリアートサービススタジオに複層で建てた350坪規模の捜査本部セットで進められる。セットは演劇舞台のように限定されているが、カメラはこの中を垂直・水平に巧みに移動しながら開かれた空間のように見せる。とはいえ、閉じた空間で繰り広げられる人物たちの心理的衝突と葛藤を、迫力に満ちた場面として撮影する。

張鎭スタイルのユーモアは今回も輝く。この映画で誰かを笑わせようとしなかったチャ・スンウォンと無口な申河均(シン・ハギュン)が対座した取調室の雰囲気は重苦しく張りつめている。「おまえがおれにものを言うときは1形式(主語+動詞)だけで話せ…分かったか?」(チャ・スンウォン)「私は…分かりました」(申河均)。「石油缶をなんで持って入ったんだ?」(チャ)「私は火をつけようとしました」(申)。「それじゃ3形式だろうが!」(チャ)「私は大変です」(申)。「何が?」(チャ)「1形式は大変です」(申)。笑う状況でもなく、2人の俳優が誇張した演技をするわけでもないのに、いつのまにか噴き出してしまう。

●申久など脇役たちの抑制のきいた演技も見どころ

この映画に「今年の名場面」と呼ばれそうな目立つ場面はない。しかし、終始観客の目を捕らえるパワーがある。俳優たちのせりふが多いうえに時々笑わせるが、話の核心を外れない。

視聴率を高めるために捜査に巫子を使おうという放送社の提案によって繰り広げられる祈祷さえ、観客を引き寄せる力がある。緊迫したスリリングさはないが膝を打つような反転があり、恐ろしいホラーではないが背筋がぞっとする恐怖がひそんでいる。

申久(シン・グ)をはじめリュ・スンヨン、李ハンウィ、イム・スンデ、チャン・ヨンナムなど脇役の演技は抑制されていながらも素晴らしい。

チャ・スンウォンは初めて彼らの演技に合わせつつ光を放つ方法を悟ったようだ。長監督には、あれこれと忙しい8月になりそうだ。封切りは11日。映画観覧は15歳以上。



mindy@donga.com