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涙で見つけた家族愛 映画「アンニョン、兄ちゃん」

涙で見つけた家族愛 映画「アンニョン、兄ちゃん」

Posted May. 19, 2005 23:31,   

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家族映画とは、家族が一緒に見るに値する映画、または家族の意味を悟らせる映画だと言える。この二つをいずれも満足させられれば、家族映画という言葉に該当する映画だろう。最近、封切られた韓国映画から探すなら、家族をタイトルにした『家族』や、500万人以上が見た『マラソン』をあげることができる。しかし、『家族』は全家族が一緒に見るには多少暴力的なシーンがあり、家族映画だと呼ぶのに適切な『マラソン』も、初めから家族映画を標榜したものではない。

27日に封切られた映画『アンニョン、兄ちゃん』は、このような面で一つの挑戦である。製作社MKピクチャーズが、「家族映画を1つの代表ジャンルにして地道に製作する」ことを明らかにしてからの初作品だからだ。MKピクチャーズ側は、米国のディズニー社が作ってきた家族映画をモデルにしていると明らかにした。そのような面で、『アンニョン、兄ちゃん』はさらなる挑戦だ。ディズニーの家族映画が、主に結婚(または離婚)を素材に親子間の和解や家族の結束を描いているなら、同映画は家族構成員の不治の病、すなわち死を素材にしたためだ。

このような点で、『アンニョン、兄ちゃん』は、挑戦が成功するかどうかは別にして、挑戦そのものにおいて注目に値する作品だ。家族用テレビ番組に登場した父親が、「鉄板炒め用のステンレス杓子でたまごを回して投げた後、半分に切る」、「コップと皿を倒さずに、下に敷いたテーブルクロスを一度に抜き取る」などのワザができなくても、家族の涙の抱擁を受けるようにである。

9歳のハンイ(朴ジビン)には、12歳の兄ハンビョル(ソ・デハン)がいる。ハンイは、性格がいいだけの兄を、兄として遇せず、いじわるをする。そうしたある日、ハンビョルが脳腫瘍と言われ急に脳手術を受け、小児がん病棟に入院する。母親(ベ・ジョンオク)は、ハンビョルを看病するためにハンイにほとんど神経を使うことができず、父親(パク・ウォンサン)は、「ハンビョルをいじめる度に、ハンビョルが記録できるように手帳をわたす」と言って、ハンイをせめた。ハンイは、ハンビョルが実の弟である自分より、小児がん病棟のウギ(チェ・ウヒョク)をより弟のように大切にしていると思った。ハンイの悩みは始まる。

テレビの「病院24時」のようなドキュメンタリーが通例そうであるように、重病に病む子どもがいる家族の話は、涙をそそる。しかし、『アンニョン、兄ちゃん』は、そのような条件反射的な涙を抑えた跡が明らかだ。初めの10分が経過した頃、母親が「息子の目が見えなくなるまで(脳腫瘍が視神経を悪化させて視力を落とす)、母親は何をしていたのか」と言って、自責の涙を流した後からは、カメラは病院という空間から抜け出て、ハンイの精神的成長に焦点を合わせる。

ハンイは、ウギとの冒険、偉そうにする級友ジュンテとのエピソードなどを経験して、世の中が自分を中心に回らないことを学ぶ。それは、9歳の子供には辛い経験だ。しかし、自分の周りの人々の大切さを悟り、彼らのためにどんなことでもできる少年になるには、喜んで支払わなければならない授業料でもある。

結局、涙を拭くために準備していたティッシュはあまり使うこともなく、映画は終わる。残念だが、家族映画というレッテルをはずせば、『アンニョン、兄ちゃん』はある一編の成長映画として評価できるだろう。しかし、ディズニーを意識したかのように、山で原始人のように行動する「ターザン」の登場をファンタジーで処理したことは、劇の全体的な流れから浮いている。ベ・ジョンオクとオ・ジヘ(ウギの母親)が、病院のトイレで洗面台に水をため、顔をつけて涙を流すシーンは、長く記憶されるだろう。27日上映。全年齢観覧可。



mindy@donga.com