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映画『女、チョンヘ』の金ジス「年取っても安住したくない」

映画『女、チョンヘ』の金ジス「年取っても安住したくない」

Posted February. 23, 2005 22:45,   

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タレントの金ジス(32、写真)がデビュー13年目にして初めて映画に出演した。来月10日に公開される『女、チョンヘ』(監督・李ユンギ)。同映画で金ジスさんは幼い時の痛い記憶を抱えて生きる郵便局の女性職員、チョンヘに扮する。チョンヘは、彼女と同じく平凡な男(ファン・ジョンミン)に出会い、心の扉をほんの少し開く。

23日午前に会った金ジスは疲れた様子だった。悲しく見えた。前日『女、チョンヘ』の記者試写会の途中、同じ事務所所属の女優、李ウンジュさんが自殺したという悲報に接した彼女は、青ざめた表情でただちに席を立っていた。金ジスは「一日中、何も手につきませんでした」と静かに語った。

『女、チョンヘ』は、しっかりした演技力の金ジスにとっても怖かった。

「カメラが自分を監視している気分でした。いつも私を追いかけていました。ドラマ撮影では味わったことのない、拘束された感じ。孤独でもありました。乗り越えなければならない瞬間でも」

手に持って撮る「ハンド・ヘルド」手法で100%撮影された同映画は、ほぼ全シーンに登場する金ジスに密着している。カメラは彼女の一挙手一投足を観察し監視し、あるいは突き放す。金ジスの顔、手、足は、スクリーン一面にクローズアップされる。女優にとっては負担である。

「手にはあまり自信がないのに。女優として自信のないシーンが多かったです。いやになる場面もあったし。女なら誰でもカメラの前できれいに撮られたいものでしょう。金ジスはきれいに映りたくても、『チョンヘ』はきれいに見えてはいけないから」

彼女は本当に「ひどい」映画を選んだ。チョンヘはあまり表情を見せない。彼女の見せる「意味深長」な行動といえば、鉢植えの葉っぱを拭いたり、洗い物の途中でテレビに目を向けたり、歯磨きの途中で洗っておいたストッキングが乾いたか確かめたり、猫に餌をやったり、円錐形に曲げたカップラーメンの蓋にラーメンを入れて食べたり、ほんの一瞬、過去の記憶を浮かべたりするのがすべてだ。シナリオに書かれていた最も具体的な演技指示は「揺れるチョンヘの表情」だったというほど、シナリオは金ジスに多くの余白を与えた。

「テレビカメラの前では、何もしないでじっとしていれば、本当に『何もしないチョンヘ』になります。でも、映画のカメラの前では、『何もしないチョンヘ』になるために、想像できる全てを演技しなければなりません」。

「ただ無表情で歩いていく」場面や「寝ながら手を動かす」場面は5、6回も取り直した。

「撮影中にも、ある日はチョンヘが好きになったり、ある日は嫌いになったりしました。あまりのじれったさに嫌気がさした時もありました。私は悲しくなれば泣きます。でも、チョンヘの場合、悲しすぎると泣かないんです」

「なぜ演技14年目になって映画を始めたか」という質問に、彼女は「歳は取っていくし、このまま安住したくなかった」と答えた。単刀直入だった。このようなストレートな彼女の性格は、自己管理が徹底して絶対ミスなどするようには見えない、彼女の冷たいイメージと奇妙に衝突もしくは同居しているようだ。

金ジスは「この映画が観客の好みには合わないかもしれません。退屈で面白くないと感じるかも」、「海外メディアにほめられたからといって、国内メディアにもこの映画をほめてほしくはありません」、「映画はビジネスです。映画が初めての私に興行を保障するシナリオが自ら訪れるはずがないでしょう」などと大胆に語る。

悩みを尋ねると、金ジスは「演技をして、とてもいい感じで老いていく女優になること」だと答えた。映画の中でのように、まつげが美しい女性だと思った。



李承宰 sjda@donga.com