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一度は聞いたような淡い恋物語 映画「足長おじさん」

一度は聞いたような淡い恋物語 映画「足長おじさん」

Posted January. 06, 2005 23:14,   

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幼くして両親と死に別れ、苦学し、たくましく生きる女子高生チャ・ヨンミ(ハ・ジウォン)。彼女にある日、差出人の分からない小包が届く。小包のふたを開けると、靴の下にあるのはヨンミが合格した大学の入学金の領収証。ヨンミは、それから4年間、学費を払ってくれる顔も知らない人を探そうと努力するが、手にした手がかりと言えば、以前一度すれ違ったその人が、背の高い男性だったということと、彼が「これ以上探さないでくれ」と言って送ってきた星のペンダントだけだ。ヨンミはいつからか、名も知らないその男性に送ることもできない手紙を書いて、一人で話しかける。「私の足長おじさんへ…」。

13日封切りの映画『足長おじさん』には、色彩の異なる愛が重なっている。ヨンミが顔も知らない男性を思い浮かべて連想する童話「足長おじさん」が映画全体のバックグラウンドなら、ヨンミが借りている家の主人に告白できないまま、自分のコンピューターに記録して残しておいた片思いの話は、ヨンミが「足長おじさん」を探す鍵の役目をする。前だけを見て一生懸命生きてきたお陰で、遂にラジオの放送作家になったヨンミが、放送局資料室職員の金ジュンホ(ヨム・ジョンフン)に抱く淡い恋心は、この相異なる恋物語の出発点であり終点である。

『足長おじさん』の俳優らが監督に繰り返し聞かされた注文は、「力を抜け」だったという。張り裂けそうな感情を抑えた痕跡が歴然としている。興行メーカーのハ・ジウォンと青春スターの期待の星であるヨン・ジョンフンが主演だが、2人はキスシーンや抱擁もなく、互いをただ見つめるだけだ。滑稽なキャラクターの助演チョン・ジュンハ(李プロデューサー)とシン・イ(同僚作家、チョン)のカップルまで、自分たちの洒落っ気を抑えるおとなしい姿だ。

このように淡々と節制されたラブストーリーに彩りを添えるのは、流行歌の歌詞や、ロマンス小説のように常套的だがそれでも泣かせる設定とせりふだ。10年間も片思いをしながら、相手の前に堂々と現われて「愛している」という言葉も言えない内気な心、夜明けの散歩や遊園地での夜間デート、職場での疲れる人間関係でヨンミの心が病んだ時、「寂しい時は、私を抱いてください」というメモと一緒に配達される大きなクマの人形、愛を確認した瞬間、予告された死で相手と永遠に別れなければならないことを知る運命のいたずら…。「くしゃみと愛は隠すことができないようよ」、「星の伝説を知ってる…。愛する心が空に行って星になったそうよ」。

どこかで一度は読んだり、聞いたことがあるような、あるいは恋が始まって進行する過程で一度は手紙にでも引用したことがあるようなイベントと台詞を見ると、この映画が俳優たちをパステルトーンに純粋に固定した理由が分かるような気がする。

誰よりも抑制された演技でキャラクターづくりをしなければならなかったのは、ジュンホ役のヨン・ジョンフンだ。27才、180cmの健康な青年は、肩を下げてのっそりと歩く後ろ姿を通じて、一日一日「存在が倒れそうな」善良な男、ジュンホを演じた。撮影中「笑うな」という監督の注文を消化するのが大変だったと言う彼は、「愛に制約が伴えば、それだけ深まるのではないだろうか」と、自分が演技したジュンホの内面を説明した。

この映画でデビューしたコン・ジョンシク監督は語る。「世の中の愛がこうでなくてもいい。童話の中の愛のように…。穏やかな安らぎを描きたかった」と。

「足長おじさん」の顔は、映画の始まりにヨンミが言った独り言の中にすでに描かれている。「この世の中で私は独りではないという感じがします。誰かが私を見守ってくれているという…」。14日封切り。12才以上観覧可。



鄭恩玲 ryung@donga.com