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[オピニオン]政治家とリアリティ番組

Posted September. 11, 2015 07:16,   

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最近、バラク・オバマ大統領も、アラスカを背景に撮影したテレビのリアリティ番組に出演した。表向きは任期末の重点事業として進めている気候変動対策関連メッセージを伝えるためだ。予告編を通じて、オバマ大統領が、クマが半分ぐらい食べ残した鮭をためらわず味見する破格を披露したのが話題となっている。

◆「お前は首だぞ!(You are fired)」。最近米大統領選挙の共和党大統領候補選び選挙の候補のうち、トップを走っている不動産財閥・ドナルド・トランプが、自分が司会を務めているリアリティ番組で流行させた言葉だ。氏は2004年から始まったNBCのアプレンティス(Apprentice=見習い社員)シリーズを通じて有名人となった。年収25万ドルを打ち出したトランプ会社の職を手にするため、16人が激しい競争を繰り広げるが、トランプは一人ずつを落とすたびに、この言葉を吐き出す。先月、NBCがトランプを共同制作者兼司会から降ろすと明らかにした。自分の毒舌がブーメランとなって戻ってきたことになる。

◆トランプは、メキシコ不法滞在者への暴言で波紋を起こすなど、とんでもないキャンペーンで、保守層有権者攻略に功を奏している。リアリティ番組で、唯我独尊型、傍若無人のキャラクターを構築して成功した経験を、大統領選挙に適用しているのだという見方も出ている。即興的な発言ではなく、徹底的に計算された戦略だという主張だ。

◆米国のリアリティ番組は、1973年に、とある家族の日常を紹介したPBS番組「アメリカンファミリー」がその元祖で、2000年代以降流行した。我が国でも、「スーパーマンが戻ってきた」、「本物の男」などのリアリティ番組が主流となっている。違うことは、米国の場合は一般人が中心となっていて、韓国は芸能人が中心となっている。リアリティ番組に意図された演出が介入していることに、視聴者らも気づいている。にも拘わらず、実際状況に実存人物が登場すれば、あっという間にはまってしまう。オバマ大統領が政策広報のためにリアリティ番組に出てきたことだけを見ても、分かるはずだ。国内リアリティ番組にも、トランプのように将来政治を夢見る人がいるかもしれない。いずれにせよ、リアリティ番組は現実と虚構との境界に陣取っているファンタジーであることを念頭に置くべきだろう。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com