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[オピニオン]大統領のサングラスの「愛国マーケティング」

[オピニオン]大統領のサングラスの「愛国マーケティング」

Posted September. 08, 2015 07:28,   

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サングラスは不思議な気持ちを掻き立てる。女優のオードリー・へプバーンが映画「ティファニーで朝食を」で、朝からサングラスをかけて、ティファニーの店の前に立っている姿は、映画史の中でも指折りの名場面だ。中年の女性たちは、少女時代は一度ぐらい、「理由なき反抗」のジェームズ・ディーンがブルージーンズをはいて、サングラスをかけた姿にほれた記憶がある。故朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が5.16クーデターの直後、サングラスをかけて、陸士生徒たちの支持デモを見守っていた姿は、韓国現代史の主要シーンともいえる。

◆朴槿恵(パク・クンへ)大統領が3日、中国抗日戦争記念日の軍事パレードでかけていた赤色のサングラスは、国内中小企業の製品だったという。大邱(テグ)の眼鏡フレームやサングラスメーカー「シーサン(SEE SUN)」が昨年、世界3大デザイン公募展の一つと言われているドイツのレッドドットデザイン賞で受賞したモデルであり、該当メーカーと大統領府がそのことを確認した。軽くて折れない新素材「ウルテム」フレームで作られており、消費者価格は17万8000ウォンだ。

◆大邱は眼鏡産業で有名だったが、中国製低価格製品に押され、枯死寸前のところにまで追い込まれていた。ところが、航空機部品に使われていたウルテムを、メガネのフレームに取り入れる技術を開発して復活した。三星(サムスン)電子の携帯電話工場の海外移転によって仕事を失った複数の1、2次協力会社の射出金型表面処理技術が加わり、世界最強のメガネフレーム技術が誕生した。国内メガネフレームの生産や輸出の80%を担当している大邱は、この6年間で、メーカー数が300社から600社に増え、輸出高も年間8500万ドルから1億2000万ドルへと伸びた。

◆女優のチョン・ジヒョンが、ドラマ「星から来たあなた」の中でまとっていたチョン・ソンイコートやキム・スヒョンのタイシャツのように有名人たちのファッションは、あっという間に話題となる。サングラスはもとより、衣類や靴などは依然として、イタリアやフランス、米国ブランドのものが人気だ。国内中小企業の製品も品質の高いものが多いだけに、男女を問わず、有名人たちが着用して出歩けば、ブランド広報に有利だろう。三星電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長や鄭溶鎭(チョン・ヨンジン)新世界(シンセゲ)副会長、政府からも首相や副首相、閣僚たちが頻繁に中小企業のネクタイを締めたり、靴を履いて公式席上に出てきたら、愛国マーケティングになるだろう。

申然鐏(シン・ヨンス)論説委員 ysshin@donga.com