Go to contents

[オピニオン]離婚裁判の有責主義と破綻主義

[オピニオン]離婚裁判の有責主義と破綻主義

Posted June. 27, 2015 06:46,   

한국어

50年間団らんな家庭を営んできた日本人の老夫婦。引退後、胃がんで闘病していた夫が、ある日殺害される。犯人は妻だった。介護途中、夫が36年前に浮気をして謝罪したつらい記憶が浮かんできたので殺したという。最近、東京地方裁判所は「50年間の思い出には楽しかったこともあったはずだ。感謝の気持ちを忘れないで生きてほしい」として妻に執行猶予を言い渡した。過去のこととは言っても、配偶者の不倫は許せる罪ではない模様だ。もし、夫が健康だったなら、妻は離婚を選んで、あのような偶発的殺人を回避できただろうか。

◆離婚は協議離婚と裁判上離婚とに区別される。夫婦がお互い合意した協議離婚とは違い、裁判上離婚は、配偶者の不貞行為など正当な離婚事由があってこそ、離婚を請求することができる。裁判所は1965年以降、「有責主義」を導入して、家庭破綻の責任がある配偶者の離婚請求をほとんど却下している。米国や日本、ドイツなどは破綻主義を採用している。是非を問わず、離婚請求を認めているのだ。

◆不倫をした配偶者が請求した離婚を認めるべきかどうかを巡り、昨日、最高裁判所で全員合議体の公開弁論が行われた。15年間、他の女性と同棲して婚外子まで設けた夫が、法律上の妻を相手に起こした上告審の裁判だ。離婚に対する意識の変化に合わせて、現在の有責主義を破たん主義に切り替えるべきかどうかについて、二人の女性弁護士が激しい論戦を繰り広げた。「有責主義を固守するのは、むしろお互いの憎悪を膨らませるだけだ」(金秀珍弁護士)と、「不貞行為によって婚姻関係を破壊しては、関係が破たんしたので解放させてほしいとして権利を乱用するのを保護するわけにはいかない」(梁素瑛弁護士)との主張が対立した。

◆有責主義は、夫が妻を一方的に追い出す「締出し離婚」を防ぐのに寄与した。最近は逆に、50代、60代の夫たちを保護する役割を果たしている、との見方も出ている。家族を養うために、仕事に没頭していた夫が退職後、妻から離婚要求を受けた時に盾に使っているという。半世紀も続いてきた有責主義が、果たして破たん主義の激しい挑戦をいつまで食い止めることができるか見届けたい。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com