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[オピニオン]「嘘」ウイルスとの戦い

Posted June. 16, 2015 07:17,   

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『Dr.HOUSE』は、2012年に終了した米国のドラマだ。主人公ハウスの「人は嘘をつく」という持論は有名だ。ハウスは、「私は患者になぜ嘘をつくのかと聞かない。患者は嘘をついていると想定するだけだ」と言う。

◆中東呼吸器症候群(MERS〈マーズ〉)コロナウイルスの1次流行の出発点である最初の患者は、平沢(ピョンテク)聖母病院に入院した時、バーレーンに行って来ただけだと言って、MERS発症国であるサウジアラビアを旅行したことを隠した。建陽(コンヤン)大学病院などで22人を感染させた16番目の患者は、手術を拒否されることを恐れ、平沢聖母病院に入院していたことを隠した。サムスンソウル病院の非正規の患者搬送員は、給料カットを憂慮して発症した後も9日間、隠して仕事をしたという。普段なら患者の嘘は患者自身が被害を受ける「自己責任の原理」で扱えばいいが、感染病は違う。医師は、公共の安全に責任を負う警察官のように「取り調べ」をしてでも、患者から真実を聞き出す義務がある。

◆病院が過ちを犯し、その失敗を患者の嘘のせいにしたケースもある。サムスンソウル病院は、2次流行の出発点である14番目の患者が、平沢聖母病院に入院したことを隠したと主張したが、患者が平沢聖母病院で撮ったCT写真を入院時に提出したことが後で明らかになった。患者搬送員については、14番目の患者が救急室にいた時に勤務していた9人を隔離し、90人全員の感染状況を調べたが、この時1人だけ抜け落ち、患者になったと主張している。脱落の責任の所在は不明だ。患者がわざと抜けたというニュアンスもなくはない。

◆実際、患者だけが嘘をつくわけではない。病院も防疫当局も、責任を転嫁したい誘惑にかられる。批判者は嘘の憂慮を拡散させる。ハウスは、「真実は嘘から始まる(Truth begins in lies)」と言った。嘘は克服しなければならない定数だ。MERSとの戦いは単なるウイルスとの戦いではない。嘘とも戦わなければならないところに、この戦いの難しさがある。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員pisong@donga.com



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